厚生労働省と文部科学省が立ち上げたプロジェクトチームが12日、「ヤングケアラー」の実態を調査した結果を報告した。
【映像】「普通の家が羨ましい…」SNSに投稿された“元ヤングケアラー”の声
ヤングケアラーとは、学校などに通いながら両親や祖父母の介護、きょうだいの世話をしている18歳未満の子供のことだ。例えば、障害や病気のある家族に代わって料理や洗濯などの家事をする、家計を支えるために労働をして家族を助けているといったケースが、これに当てはまる。
公立中学・高校生の2年生、約1万2000人を調査した結果として、山本博司厚労副大臣は「ヤングケアラーは中学生で5.7%、高校生で4.1%存在する」と発表。世話をしている家族は、きょうだいが最も多く61.8%で、父母、祖父母と続いた。1日に世話に費やす時間が「7時間以上」と答えた子供も1割いた。
その結果「やりたいけれどできていないこと」として「睡眠時間が十分に取れない」「宿題や勉強する時間が取れない」「友人と遊ぶことができない」という答えが寄せられた。この結果を受け、SNSでは過去にヤングケアラーだった人たちから投稿が相次いでいる。
【SNSに寄せられた“元ヤングケアラー”の声】
「誰かに話せる場所が本当になかった。普通の家の同級生がいつも羨ましかった」
「小4から家事やっていた。当事者の子供はこれが異常っていう自覚がないんだよな。家族支えるので精一杯で余裕無くなるから」
このニュースに東京工業大学准教授・西田亮介氏は「今回、大規模な調査が行われて(ヤングケアラーの)規模感が表面化したことはとても重要」と述べた上で「高所得の世帯がカットオフされている可能性がある」と指摘。
「早急な対策と並行して、実態調査を積み重ねていく必要がある。今回対象になったのは、公立中学・高校生の2年生、約1万2000人だ。授業料の高い私立の学校が除外されていることからして、高~中上位所得の層が抜け落ちてしまっている可能性がある。それによって、ヤングケアラーの数字、とくに単純にかけ合わせたと思われる人数の値が大きく出すぎてしまっているようにも見える。質問項目も若干抽象度が高く、該当するか判断が難しいものもある」(以下、西田亮介氏)
深刻な少子化が進む日本では、出生数が減り、近年100万人を割っている(厚生労働省の人口動態統計より)。少なくなっていく若い世代が、家族の介護やきょうだいの世話などによって、キャリアを積むことができないのは社会にとっても損失だ。
「共働き世帯が増えたことや出産年齢の高齢化などによって、家に子供が残される家庭も増えたことなどが影響しているかもしれない。祖父母の介護や、年少の子供の世話など、『自分がやるのは当たり前』だと思ってしまう状況が続き、(負担を)訴えることが難しくなっている。少子化の社会においてとくに子どもは宝だ。彼ら彼女らの自己実現やキャリアへの投資機会の阻害要因を除去し、社会の損失が大きくならないよう学校や行政機関等の連携による積極的なアウトリーチ型支援と対策が必要だ」
周囲になかなか打ち明けられない家族内の問題。調査結果を受け、加藤官房長官は厚労省と文科省のプロジェクトチームにおいて「今後、課題等を検討していく」と話している。
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