ピンチになればなるほど燃える、まさに主人公だ。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2020」セミファイナルシリーズ、4月23日の第2試合で渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)がオーラスにリーチ者へ差し込む余裕のトップ。サクラナイツにトップの座を奪われ、レギュラーシーズンの勢いに陰りが見えていたこのタイミングで、再び定位置へ向けて勢いを引き寄せた。
この試合の対局者はKONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)、EX風林火山・滝沢和典(連盟)、多井、赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)の並びでスタート。多井の登板はここまでわずかに1回、3着で終わっており、何よりチームはここまで6チーム中唯一の未勝利。さらにこの日の第1試合では白鳥翔(連盟)がラスと、ファイナルへまだポイントはあるものの、そろそろ再浮上のきっかけを掴みたいところ。
多井はラス目で迎えた東3局の親番で、發・三色同順・赤2・ドラの1万2000点をアガって一気にトップ目へ。続く1本場は滝沢の満貫仕掛けにリーチで押し返し7700点(+300点)のアガリで加点に成功。トップをほぼ手中に収めたのは東3局3本場、佐々木のリーチを受けながらダマテンで攻め続け、ツモ・一気通貫・赤・ドラの8000点(+900点、供託1000点)のアガリを決めた。
点棒を持ったらもう二度と多井はその座を譲らない。南4局はラス目の佐々木のリーチに躊躇なく一発目で差し込みトップ終了。仕掛けて満貫、ダマテンでも満貫、そして最後は点差を活かした差し込みと、持てる技を尽くしての完勝劇だ。差し込みの場面では視聴者コメント欄に「うますぎる」「すげー!!!」「これは天才」「キレイな差し込み」「一発でやるんだ」と驚愕のコメントが多数書き込まれた。
インタビューでは「イチかバチか、トップかラスかという麻雀をしなきゃなと思っていました」と、多少強引でもトップを狙っていた心の内を明かした。首位のサクラナイツについては「サイレンススズカのように逃げると言っていたので、ウオッカのように差し切ってやるぞと」とユーモアを交えて説明。残り6戦となったセミファイナル、今後の首位奪還計画に迷いなしといったところだ。
絶対的エースが初勝利をもたらしたこの日、チームはサクラナイツと1回のトップラスで入れ替わる位置に付けている。多井はファイナルへ向けて「だいぶラクになりました」と清々しい表情になり、さらに「チームがピンチになっていれば、その時に燃えるのが僕なんで。チームが困った時にまた助けたいと思います」とインタビューを結んだ。精神的支柱の多井が見事に掴んだトップ、これは他の3選手にも大きな刺激となり、次の勝利を引き寄せるはず。眠れる獅子がついに目を開けたことは、ライバルチームにとってこれ以上ない脅威となることだろう。
【第2試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)4万2200点/+62.2
2着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)3万600点/+10.6
3着 赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)2万7900点/▲12.1
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)-700点/▲60.7
【4月23日終了時点での成績】
1位 KADOKAWAサクラナイツ +311.9(10/16)
2位 渋谷ABEMAS +216.2(10/16)
3位 赤坂ドリブンズ +77.7(12/16)
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 +0.9(12/16)
5位 EX風林火山 ▲79.9(10/16)
6位 TEAM雷電 ▲196.1(10/16)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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