文字どおり“和製”マーク・ハントのような戦いぶりだった。試合開始直後から前進し、豪腕フックとアッパーを連打。わずか103秒間で3つのダウンを奪う圧巻のKO劇。身長差18センチ、リーチでも上回る相手に何もさせない激勝ぶりに視聴者からは「まるでマーク・ハントvsチェ・ホンマンみたいだ」という声が上がった。
4月23日に後楽園ホールで開催された「Krush.124」での植村真弥(WSRフェアテックス幕張)と中平卓見(北眞舘)のクルーザー級戦で瞬殺劇が繰り広げられた。ふた回りも大きな対戦相手に植村が怒涛のラッシュ、得意のフック、突き上げるアッパーで1ラウンド1分43秒で3ダウンを奪ってみせると解説が「植村選手の試合にハズレなし」と感嘆した。
植村はKrush/K-1でもお馴染みの“ぷよぷよ体型”で人気の選手。スタミナ、スピードの両方を兼ね備え、豪腕フックを武器に重量級の外国人選手たちとも真っ向から殴り合う激闘スタイルでファンを沸かせてきた。対戦相手の中平は、186センチと日本人離れした体格に恵まれた41歳。空手をベースに勝利した7戦において、全てKO勝ちを収めている。
試合を放送したABEMAの視聴者から「今日もぷよぷよ」「わがままボディ」といった声援が飛び交うなか、体格差のある中平を相手に植村が躍動する。空手ベースの中平のゆったりとした構えに対し、考える時間すら与えない植村の突進で幕開け。左右のフックをブンブン振いながら嵐のように突き進んでいく。いきなりの波状攻撃に思わず背面を見せた中平に容赦なくボディフックの雨あられ。この攻防には「まるでマーク・ハントとチェ・ホンマンの試合みたいだ」という声も。
ここはクリンチに逃れた中平だったが、明らかに植村の奇襲に面食らった表情だ。再開後も植村の攻撃は止まらない。中平の逆襲の右ストレートを掻い潜って強烈なボディ打ち。“バシッ、バシッ”と乾いた音が響くなか、今度は中平の顔面を目掛けてアッパーを打ち込んでいく。
中平もやられてばかりではない、巨体を活かしたヒザ、遠距離からの前蹴りなど固め打ち。さらにミドルを蹴り上げるが、植村が再び重戦車のように前進を再開。ぶん回すような突き上げる左フック、右アッパー、ボディを入れるとたまらず中平が両ヒザをついて1度目のダウン。ゆっくりとカウントを聞きながら立ち上がる中平だが、ダメージは大きそうだ。首を捻りながらなんとか試合に戻るものの、怒涛のラッシュで迎え撃った植村がボディフックとアッパーで2つ目のダウンを奪ってみせた。
もう後がない中平。最後の力を振り絞りヒザで植村の前進を阻むが、強引なボディ打ちから右腕を突き上げた植村のアッパーを被弾すると、中平の巨体が崩れ落ちた。
この日ゲスト解説を務めた菅原美優も迫力あるKO連発に「植村選手の試合にハズレはないですね」とコメント。毎回その激闘ぶりから「90年代のK-1を彷彿とさせる」と言われる植村のファイトスタイル。視聴者からも「体重を拳にのせる名人」「突進力が違う」「本当に和製マーク・ハントだな」といった称賛の言葉が並んでいた。