“粘りのダンディズム”久保利明九段、残り2秒からの逆転勝利!ファンも「これはすごいな」/将棋・ABEMAトーナメント
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 捌きだけでなく、粘りでも超一流だ。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Aリーグの第3試合、チーム三浦とチーム稲葉の対戦が4月24日に放送され、チーム稲葉の久保利明九段(45)が絶体絶命の局面から、見事な逆転勝利を収めた。持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算というフィッシャールールの中で、残り時間2秒まで追い詰められ、相手に4分以上の差をつけられていたが、そこから挽回。チームメイトに勇気を与える勝利で、チームの大逆転勝利にもつなげた。

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 窮地からの大逆襲が見られたのは、9本勝負の第7局。チームスコアは2-4で、負ければ即予選敗退という瀬戸際だった。相手は今回の対戦で1度負けている本田奎五段(23)。先手番から三間飛車、さらには向かい飛車に移行すると、囲いは耐久力重視で穴熊を採用した。

 形勢は互角、さらには久保九段が有利に見えたが、とにかく苦しかったのが残り持ち時間。難解だと見た久保九段の時間がどんどん減ると、残り10秒からチェスクロックが刻む「ピッ、ピッ」という音が対局場に鳴り響いた。さらに5秒を切ると「ピー」と音が止まらなくなり、より緊迫感が増すが、ベテランはぎりぎりまで考えてはクロックを止めるを繰り返した。瞬間的に久保九段が残り2秒、本田五段は4分17秒と、時間だけ見れば大苦戦だが、局面では鋭い手を飛ばし、若手実力者を苦しめ続けた。

“粘りのダンディズム”久保利明九段、残り2秒からの逆転勝利!ファンも「これはすごいな」/将棋・ABEMAトーナメント
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 もともと振り飛車党の代表的な棋士でもあり「捌きのアーティスト」と呼ばれているが、ひげをたくわえたダンディな顔立ちと粘りの様子は、まさに「粘りのダンディズム」。ついに持ち時間でも五分に戻ると、一瞬のタイミングを逃さず逆転、大きな勝利を手にした。

 対局を終えた久保九段は「苦しい展開も多かったんですけど、穴熊にして自分の玉に王手がかからない展開にしたところでの戦いはうまくいったのかなと思いますね」と、心地よい疲労感を覚えた笑顔に。ファンからも「これはすごいな」「久保さん強すぎた」と驚きの連続だった。

◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。

ABEMA/将棋チャンネルより)

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