“デジタル法案”来月成立も…個人情報保護に懸念の声 ひろゆき氏「仕組みを作れる人が政治家にいない」
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 無料通信アプリのLINEが、個人情報を中国の関連会社から閲覧できるようになっていた問題で、政府の個人情報保護委員会は23日、管理・監督が不十分だったなどとして、改善するよう指導した。

 そんな中、今国会ではデジタル改革関連5法案の審議が行われている。この法案には菅総理肝煎りのデジタル庁の新設も盛り込まれていて、63本ある法案だが、衆議院ではわずか27時間ほどの審議で通過。現在、参議院で審議されていて来月にも成立する見通しだ。

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 やはり問題になってくるのは、個人情報の取り扱いをどのように行うかだ。立憲民主党デジタル政策PT座長の後藤祐一衆議院議員は「デジタル社会形成整備法案の一部に“個人情報保護法案”があって、これがとてつもなく重要かつ大きな法案。これだけでも27時間でも足りないぐらいだ。だから3倍ぐらい、80時間ぐらい、審議をやる必要があった」と述べる。

 4つ目の「デジタル社会形成整備法案」を見ると、国や地方自治体がそれぞれ管理していた個人情報について“一元的管理”を目的にしている。現在、立憲民主党はこの法案に反対の立場を取っている。具体的にどのような問題があるのだろうか。後藤氏は「このままでは国民が安心してデジタル化に賛成できない」と話す。

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「この法案は、行政機関・地方公共団体・民間企業が持っている個人情報保護法を1つにするものだ。厳しくやっている自治体とそうでない自治体があるのに、今まで別々だったそれぞれの個人情報保護法をまとめてしまうと、一番緩いところに合わせて1本のルールになってしまう。慎重に個人情報を扱っている自治体があっても、一旦できなくなる。後々、条例に上乗せして『もう一度慎重にやりましょう』ができるのかどうか。それが今でもよくわからない」

「使い手にとって便利かつ、個人情報がきちんと守られて、サイバーセキュリティーがしっかりしている、政府が監視するための手段にしないなど、そういう心配がないと分かるように示してもらいたい。そうすれば、みんな安心してデジタル化に賛成してもらえると思う」

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 後藤氏の説明を聞いたネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「『悪用や情報流出が怖い』は分かる。では、企業や政府が悪用しないようにする法案を作れば、別に政府自体が個人情報を一括管理しても問題ないのか?」と質問する。

【映像】一元管理は無謀? ひろゆき氏「国が管理してもどこかで漏れる」

 後藤氏は「悪用されていないかどうか、個人情報保護委員会がチェックすることになっている。しかし今回、LINEで問題が起きた。LINEには個人情報保護法違反の可能性がある。個人情報保護委員会には立入検査権限があるのに、なかなか厳しいチェックをしない。LINEはもう日本の会社なので、日本の法律を守る義務がある。委託先にも日本の法律を守らせないといけない」

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 個人情報保護委員会の権限はどのようになっているのだろうか。後藤氏は「個人情報保護委員会は、今のLINEに対してのチェックも足りていない。行政機関が持っている個人情報をチェックする能力はもっと足りていない」と指摘する。

「個人情報保護委員会の事務局も結局は官僚だ。人事は役所側が握っている。本気で自分の親元の役所に対して厳しいチェックできるか。『せめて公正取引委員会並みにやってくれ』と私は言っている。企業が悪いことをしている疑いがあるとき、公正取引委員会は厳しく立入検査をする経済警察だ。だから“個人情報警察”ぐらいの厳しさでもって、行政機関や地方公共団体、民間企業に対しても本気でやってほしい」

 IT化が進み、AppleやGoogleをはじめとした外国企業がユーザーの個人情報や行動履歴などを持つ時代になっている。諸外国のルールよりも、日本のルールを厳しくすることについて、ひろゆき氏は「日本のサービスが減っていくだけだ」と懸念を示す。

「結果として今、Apple Watchなどを使っている人は、自分の心拍や寝ている時間などの個人情報を全てAppleに送っている。そういう形で民間企業は人がどのような生活をしているのか、情報をどんどんためていく。日本で厳しいルールにすると、日本の企業が育たなくなる。結果としてみんなAppleを使って、Appleのビジネスがうまくいき、Appleにお金を払って、アメリカにお金をあげて日本のサービスが減っていくだけだ」

“デジタル法案”来月成立も…個人情報保護に懸念の声 ひろゆき氏「仕組みを作れる人が政治家にいない」
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 さらに、ひろゆき氏は「国が個人情報を一元管理しても、どこかで漏れると思う」とコメント。その上で「情報がちゃんと漏れないようにする、もしくは漏れた場合にどのように対応するのか。その仕組みを作れる人が政治家にいるのか。僕はいないと思う」と意見を述べる。

 後藤氏も「ひろゆきさんが言うように一元化したとき、本当に情報を国が管理できるのか。そこがすごく疑問だ」という。

「これまで法律では一元化されていない。それぞれの行政、公共団体、企業が分散して個人情報を持っていて、簡単に移せない。それが良いか悪いか別として、ある意味、ファイアーウォールがあった。それを動かしやすくする以上、きちんと全体をチェックできる仕組みの技術が必要だ。その割にはまったく仕組みが追いついていない」

 デジタル化によって便利になっていく生活。その一方で、個人情報をどのように保護するかが課題になっている。今後、国会でどのような審議が行われるのか、注視する必要がありそうだ。

ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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