ゾンビとなって甦った7人の少女たちが、謎のプロデューサーに導かれ、アイドルとなって佐賀を救う――!? 2018年秋にオンエアされた「ゾンビランドサガ」は、新感覚のゾンビ×アイドル物語。奇想天外な設定から展開する笑いあり、涙ありのストーリーでたちまち話題となり、最終回オンエア時、Twitterでは作品名を含むツイートは17万件にのぼった。
作中で主人公たちが結成するアイドルグループ“フランシュシュ”も人気を博し、フランシュシュを演じる声優陣による東京での単独ライブ、“聖地”佐賀でのライブなどを開催。そして、現在、待望の第2期「ゾンビランドサガ リベンジ」がオンエア中だ。
“フランシュシュ”のメンバーである源さくら役の本渡楓、紺野純子役の河瀬茉希、ゆうぎり役の衣川里佳は、1期スタート当時、作品についてどう思っていたのか? また、2期制作を知ったときは?ぶっちゃけて語ってもらった。
――ゾンビになって目覚めた少女たちが、宮野真守さん演じる謎のアイドルプロデューサー・巽幸太郎にいきなり「アイドルになって佐賀県を救え」と言われる…。1期が始まったときは、一視聴者として驚きました。出演者の皆さんは、このお仕事が来たときは…?
本渡楓(以下、本渡):オーディションのとき、「ただのアイドルものじゃないかもしれない」と思ったことを覚えています。合格のご連絡をいただいて間もない頃に、「地下アイドルさんの現場を見学に行きませんか?」とスタッフさんから声をかけていただいて…。
衣川里佳(以下、衣川):あった、あった!
本渡:スケジュールが合わず、実現しなかったのですが、そんな風に声をかけて頂く事はあまりないので、「すごい作品かもしれない」「どんなアイドルアニメなんだろう」と、すごくドキドキしました。最初はただただ、探っていました(笑)。
衣川:私も、正直、最初は意味がわからないなって(笑)。スタッフさんに何を聞いても、「いや、それはちょっと」とごまかされて、誰も答えてくれなかったんですよ。スタッフさんの間で、「いろんなことを秘密にしておこう」と考えがあったんでしょうね。途中からは、「毎回、台本をもらったときの新鮮な気持ちで演じた方がいいんだな」と思って、考えないようになりました。
河瀬茉希(以下、河瀬):オンエアが始まると、作品が知らぬ間にめちゃくちゃ話題になっていて驚きました。私が演じる純子が、2話で「もう死んでますけどね」と言うのですが、オンエアされたら、それがめっちゃネタとしてウケていて…。「あ、これ、ネタだったんだ!」って(笑)。
衣川:そう!オーディションでは、わからなかったよね。真面目な台詞しか書いてなかったし。
河瀬:まだ映像ができていない状態でアフレコをしていたこともあって、主人公たちが“ゾンビ”ということが、すごくシリアスなものだと感じていたんです。だって、普通、冒頭から女の子が車に轢かれたら、深刻な話だと思うじゃないですか!
――物語は、本渡さん演じるさくらがトラックに轢かれるところから始まります。
河瀬:他の箇所でも、「やっぱり死んでいるってそういうことなんだよね…」と思いながら演じていたんです。なのに、絵に色が付き、音楽や効果音がついて完成すると、“泣けるけど笑える”絶妙なバランスが成立していて…。
衣川:わかる…!
河瀬:オンエアが始まると、思ったより反響がでかいぞ…って。で、気がついたらライブをやりますという話になり、気が付いたら衣装ができていて、気が付いたらダンスしてる、みたいな(笑)。
衣川:ライブをやるなんてちゃんと聞いていなかったんです(笑)。最初、キャラクターはともかく、私たち声優陣は「歌ったとしても、踊らない」みたいな感じだった様な。
本渡:それを聞いて安心した覚えがあるなあ・・・。
河瀬:アニメで純子たちが踊っているのは、本当にハイレベルなダンス。それをそのまま踊ることになって…。でも、それだけ皆さんの声に育てていただいたということ。戸惑うこともあったけれど、反響が反響を呼んで、注目していただいた結果です。まさか佐賀でPR大使までやらせていただけるとは…。本当にありがたいなと思っています。
――1期では、皆さん揃ってアフレコされていたのでしょうか。
衣川:全員一緒でしたね。みんなほとんど初対面で、最初は探り探り。「自分が演じるキャラクターの死因を聞きましたか?」とか話していましたね。私は人見知りなので、すみっこにずっといました。
河瀬:衣ちゃん(衣川)はそれでも目立ってたよね。オーラがスーッと出ていて。ちょっと色気があって、(衣川が演じる)“ゆうぎりさんみ”が感じられて…。
本渡:ひとりだけ雰囲気が違っていたよね(笑)。
衣川:人見知りだから、誰ともしゃべらず、スッと座っていたら、「あら、大人っぽい方?」みたいに思ってくれたみたいで。初対面はそんな感じだったけど、一回仲良くなっちゃえば、もう…!
河瀬:やっぱり作品が楽しいものだから。みんなで笑いながら録っていたら、いつの間にか絆が深まった気がしますね。
――ハイテンションなアイドルプロデューサー・巽幸太郎役が宮野真守さん、そして、謎多きゾンビ、伝説の山田たえ役が三石琴乃さんというキャスティングにも驚かされました。
衣川:最初に聞いたときは、まず「よく受けてくださったな」と思いました。
本渡:三石さんや宮野さんは、現場にいらっしゃると、どこか背筋が伸びるんです。おふたりご自身は、とても全力で楽しんで、たえちゃんだったら「あうあう」、幸太郎さんだったら「じゃいじゃい」とおっしゃっている。でも、「やるときゃやるぞ!」と締まる現場にもしてくださる。オンオフの切り替えがきちんとあるチームになったのは、おふたりのキャスティングがあったからこそだなと思います。
――1期では、ストーリーの展開はご存知だったのでしょうか?
衣川:まったく…。毎話、毎話、ドキドキしていました。終盤のネガティブなさくらもぜんぜん想像がつかなかったし…。
本渡:あれは、びっくりでした。
衣川:さくらが記憶を取り戻しても、生前、幸太郎さんと何があったかとか、そういうことははっきり思い出したわけでもないし、“フランシュシュ”のメンバーで、生前に芸能界で活躍していたメンバーは身バレの危機が…。1期はそんなところで終わりました。私も一視聴者として、「今後どうなるの!? これ、絶対終わらないよね!?」と思いました。
――では、2期「ゾンビランドサガ リベンジ」が制作されると聞いたときは…。
河瀬:まあ、あるよねって。
本渡:だよねって。1期の頃はコロナ禍前だったので、最終話のオンエアは、スタッフもキャストも勢ぞろいで、大きな部屋を借りてみんなで見たんです。
衣川:打ち上げも兼ねて。
本渡:そうそう。そこでも「えっ、何、この終わり方!?物足りないよ!」「続きやるんですか!?」となりました。酔っぱらったテンションのなかで、「やるかー!」って誰かが叫んで…。
衣川:酔っていないスタッフさんが、「これは決定ではないですから」と説明して回っていたよね(笑)。
本渡:そんな楽しい空気があったんです。心のどこかで「この人たちならやりかねないな」と思っていました。だから、2期制作決定を聞いたときは、よかったなと思いました。
河瀬:そうそう。よかったなって。それこそゆうぎりさんの謎とか、まだふれられていない部分があったので。かといって、2期でふれられるかは、まだ分からないですけど…。
衣川:たえちゃんも幸太郎さんもまだまだ謎があるし…。ただ、実は、私は事前にうっすら聞いてしまっていたんです。
――それは続編が制作されることを?
衣川:そうです。やることが決まってからも、スタッフの皆さんは、頑張って秘密を守っていたんですよ。私たちに、サプライズみたいなことをしたかったらしくて。でも、やっぱり言いたくなっちゃうんでしょうね。スタッフさんたちが話しているのが、ポロポロと聞こえてきて…。「そういえば、2期ではこの話がありますよね」と言われて、聞かなかったことにしようかな、とか(笑)。
河瀬:この作品は、スタッフの方たちがすごく楽しく作っているがゆえに、ね。あるとき、「毎週みんなで集まって、話し合っているんだよー」とスタッフさんから言われて、「2期だろうなー」って(笑)。
衣川:それ以外に集まる理由、ないよね(笑)。
河瀬:「僕から聞いたって言わないでね」とふんわり口止めしながらも、スタッフさんがいろんなことを小出しにしてくれるんです。みんなで、「私はこれ聞きましたよ」「 私はこれを」って情報を持ち寄っていました。
本渡:ピースがはまっていくみたいでした(笑)。
――そして、2期オンエアスタート前の2021年2月27日には、東京・府中の森芸術劇場 どりーむホールで「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュ LIVE OF THE DEAD “R”~」が行われました。本来は、このライブは2020年3月に千葉・幕張で行われるはずだったものですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止に。その“リベンジ”を果たされて、いかがでしたか?
本渡:今まで何度か「ゾンビランドサガ」のライブをやってきましたけれど、どのライブとも重ならない、特別なものになったと思います。それは熱量もそうですが、観客の皆さんの声は聞こえなくても、今までやってきたライブの経験があるから、「きっとみんなこういう気持ちだろうな」と想像ができました。マスク越しだけど、目がにっこりしているのがわかって…。それがすごく励みになりました。
河瀬:本当に…。
本渡:私自身は、ステージに立って、みんなに見てもらえるのがただただうれしくて、緊張がどっかに飛んでいきました。ライブ前のレッスンで、「あの楽曲、この楽曲、どれもこれも、今、とても心に響くなぁ…」と改めて気づいたこともあって、「あっという間の時間だけれど、みんなにも私にも、一生残るものにしたい」と思うようになりました。わざわざ時間とお金をかけて見てくださる、聞いてくださるわけなので、安いお金じゃないと思うんです。「後悔させないものにするためには、何をしたらいいんだろう?」と考えたときに、「自分自身が楽しんで、ただのライブにしないこと」だなって。もちろん、毎回毎回、特別なんです。そのなかでも、今回は今まででいちばん、「ゾンビランドサガ」らしいライブになった気がするんです。熱量感というか。叫ぶようなライブになっていた気がします。
河瀬:叫んでたしね。
衣川:「ヨミガエレ」とかね。いつものライブももちろん全力。みんなを楽しませたいっていう気持ちでやっているんです。けれど、今回は一回中止になってしまっています。しかも、世の中、コロナ禍で暗い気持ちになる方も多いですよね。娯楽がなくなって、ストレス発散が全然できなくなって…。だからこそ、私たちのライブで元気を取り戻してほしい、笑顔になってほしい、一時でも、私たちのライブが娯楽になってもらえたらうれしいなっていう気持ちがありました。いつも頑張っているけれど、いつも以上に熱が入ったんです。みんなの一体感やチームワークもひとしおでした。一回なくなったからこそ、「次、 必ずリベンジしよう!」と熱い思いで結束したんです。
――2020年3月の千葉・幕張ライブが中止になった後は、すぐに再度開催のめどがついていたのでしょうか?
衣川:まったく…。でも、私たち自身で、勝手に「絶対にリベンジライブしようね」と決めていたんです。「やるよね」「当たり前だよね」みたいな気持ちでいました。決まっていないけど、全員の心がそこに向かっていたんです。
河瀬:ただ、それでもやっぱり、正直、簡単ではなかったです。マスクを着けて、感染対策をしながらのレッスン、会場でどういう風に皆さんをお迎えするかのプランや、スケジュールや…。ギリギリの状態でレッスンをこなしていました。そんななかでも、やっぱり「リベンジ」という名目があるので、今まで以上のものを出したいと、熱が入っていました。
――ライブでは、オープニングで、皆さんが役になりきってメイクをして舞台に立つ…という映像が流され、それも好評でしたね。
河瀬:前回のライブ用に撮ったビデオだったんです。それを皆さんに見てもらえたのが、すごくうれしくて。あのビデオを流すとして、その後のセットリストをどうするかも、みんなで話し合いました。そういうのも楽しくて、フランシュシュ感がありました。純子たちも、きっと「曲順はどうする?」とかやっていると思うので。
衣川:スタッフさん任せじゃなくて、私たちも企画に対して意見を言うことがあるんです。スタッフさんたちもそれを受け入れてくれて、参考にしてくれます。本当にみんなで作っているっていう感じがあるよね。
本渡:キャストも一スタッフみたいな感じで、チームに入れてくださっている感覚があるんです。
河瀬:スタッフの皆さんは、「何でも言ってください」と言ってくださるんです。
本渡:(ボソッと)頼もしい人たちだー。
衣川:(笑)。横から「頼もしいひとたちだー」って聞こえてきた!
本渡:本当に大好きなんです、皆さんのこと。
河瀬:ただ、「2020年の幕張だったらチケットを取れていたんだけど…」という声や、「配信でもすごく楽しかったけど、これを生で見たかった」とおっしゃってくださる方がすごく多かったんですね。この状況がいつ落ち着くのかわからないですけれど、「今度こそは!」と言ってくださる方がたくさんいらっしゃいます。その方たち全員を迎え入れて、みんなで「ヨミガエレ」を歌いたい! そういう思いが新たに芽生えて、次への目標ができたライブでした。
――どのお話も胸が熱くなります。フランシュシュとしてのチームワークもかなり固い感じですね。
衣川:仲いいな~と思いますね。
本渡:大好きです。
河瀬:「フランシュシュのメンバーからふたり、地方へ行ってください」って急に言われても、超楽しい!
衣川:誰と行っても大丈夫だよね。
河瀬:メンバー全員を尊敬していて、すごく大好きなんです。作品のアフレコが始まってから、約3年。なんでも言い合える仲になりました。1年目ぐらいから、もう距離は近い感じだったけど。
本渡:ライブのためのレッスンで会う機会が多かったのもあるよね。それと、たぶん、「ゾンビランドサガ」というコンテンツが、人の心をひとつにしてくれるのもあるんじゃないかな。チームがひとつのことに向けて頑張る姿が描かれていて、心を揺さぶる力を持っている。だから、作品に携わる私たちも自然と、「私たちも頑張ろうね、うう(泣)」みたいな(笑)。
衣川:みんなキャラそのものみたいな感じだしね。たまに(本渡のことを)「さくらちゃん」って呼んじゃうし。
本渡:たまに呼ばれるね(笑)。みんなそれぞれ、役に似てるんですよ。それを見抜いた製作陣の方々は、すさまじいなって思います。
――チームのなかでの役割も、“フランシュシュ”そのままなのでしょうか。作中でのリーダーは、田野アサミさん演じる、元暴走族の二階堂サキ。
河瀬:リーダーなのは、やっぱりサキちゃん役の(田野)アサミさん。
サキちゃんは、「これをするのがリーダーだ」って考えながら動いているわけじゃないんですよね。やりたいことをやっていたら、自然にみんなを引っ張っていった。そこが本当にアサミさんだなって。何かあると、自然に気がついて声をかけてくれる。そういう部分も本当にサキちゃんみたいだし。それにすごくいい影響を受けています。
▶「友達や家族に凹んでいる方がいたら、一緒に見てほしい作品」本渡楓&河瀬茉希&衣川里佳『ゾンビランドサガ リベンジ』インタビュー(後編)
(C)ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会
アニメ「ゾンビランドサガ リベンジ」ABEMA特番 概要
<番組名>
TVアニメ「ゾンビランドサガ リベンジ」4話放送直前―イカの魂無駄にしないで!しないで~!―スペシャル
<出演>
本渡楓(源さくら役)、田野アサミ(二階堂サキ役)、種田梨沙(水野愛役)、河瀬茉希(紺野純子役)、衣川里佳(ゆうぎり役)、田中美海(星川リリィ役)
<日時>
4月29日(木)22:30~23:30
<番組URL>