今シーズンの充実ぶりを象徴するような一撃だった。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2020」セミファイナルシリーズ、4月29日の第2試合で、渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)が役満・四暗刻をツモアガリ。今期2度目となる四暗刻達成に、“レジェンド解説”としておなじみの土田浩翔(最高位戦)は「偶然で役満を2回もアガれるわけない。必然ですね」とお墨付きを与えた。
レギュラーシーズンでは一時MVP争いを演じて+272.5の個人5位でフィニッシュし、チームの若きエースとして躍進を遂げた松本。4月26日の第1試合で今期セミファイナル初勝利を挙げ、好調を維持して29日の第2試合に登場した。男性Mリーガーとしては最年少ながら、一気に麻雀界の頂点まで駆け上がらんばかりの勢いそのままに、東1局1本場に衝撃的なアガリを披露する。
第1ツモから面白いように有効牌を引き入れた松本は、わずか6巡で四暗刻イーシャンテン。さらに7巡目、4枚目の四万を引くとカン三万の受けを消して刻子手一本に絞る暗カンを敢行。嶺上牌で二万を暗刻として、リーチをかけずに四暗刻テンパイに構えた。
昨年11月16日にも四暗刻をアガっている松本だけに、実況の日吉辰哉(連盟)は「この人、今期2回四暗刻決めるんじゃない!?」と大興奮。山に残ったアガリ牌は九万1枚だけという状況だったが、対子・刻子系の手が強い場と見ていた解説の土田は「1枚あれば充分でしょう。(ツモる確率は)5割」と強気に断言した。するとその予言通り、松本はテンパイからわずか3巡後にラス牌の九万をツモ。牌を力強く卓に叩きつけると、視聴者コメント欄は「松本おおおおお」「信じられん」「やりやがった!」「すっげぇ」「強すぎる!」「神がかり」とこの日一番の盛り上がりとなった。
役満成就の瞬間はここぞとばかりに「なんだよこの人!」と絶叫した実況の日吉も、衝撃をありのまま視聴者に伝えるべく、持ち前のマシンガントークを封印して10秒ほど沈黙。全自動卓の洗牌の音だけが響き渡る静寂の中、解説の土田は鮮烈なアガリを噛みしめるように「見事だね」と感想を漏らした。
さらに土田は「本物ですよね。成長してます。日向(藍子)や岡田(紗佳)もそうですけど、若い人は特に成長著しい」と若手Mリーガーの急成長に言及。34種類すべての牌が使える四暗刻は「技術が要求される役満」だと持論を述べつつ、「偶然で役満を2回もアガれるわけない。必然ですね」と松本の確かな雀力を称えていた。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)