日本マクドナルドと読売新聞は28日、読売新聞の配達員がマクドナルドの商品を宅配するサービスを開始すると発表した。これまで首都圏や兵庫の一部店舗で先行してサービスを行っていたが、今月から対象を9都府県のマクドナルド70店舗に拡大し、順次全国の店舗に展開していく。
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2010年から自宅やオフィスに商品を宅配するサービスを開始し、現在では全国およそ760の店舗で行われている「マックデリバリー」サービス。今回、そのマクドナルドと新聞配達員がタッグを組むという。
外食・小売業界などで新聞配達のノウハウの活用に注目が集まっている中、元毎日新聞記者でノンフィクションライターの石戸諭氏は「紙の新聞がすべてダメではない」と話す。
「インターネットが普及し、紙の新聞の売り上げ減少が止まらないのは、ある意味致し方ないところはある。だが、紙が電子で読むよりも記憶の定着が良いという研究は積み上がっている。教科書をすべて電子書籍にしてタブレットに変えようとする動きもあるが、人間の記憶に着目すれば紙の方が向いている。紙と電子版をバランス良く使うことはこれから大事な課題だ」(以下、石戸諭氏)
近年の新聞販売所数の推移を見ると、少しずつ販売所の数が減り続けている。一方、出前市場規模の推移を見ると、右肩上がりが続き、コロナ禍によって大きく需要が高まっていると分かる。中には生き残りをかけて、“副業”として野菜販売や高級食パンの販売、エアコンクリーニングなどを手がけている新聞販売店もある。その上で石戸氏は、世間が新聞に寄せている信頼度に言及する。
「新聞社や配達員を含め、新聞に関わる人の社会的信頼度は高い。コロナ禍になって、宅配サービスを使う人が増えた。人が運んでくれる業態に注目が集まっていて、ポイントは最後に誰が“運ぶ”という行為を担うのかだ。地理に精通している新聞販売店が強みを活かせるのは必然で、市場が縮小する新聞販売店にとって、成功すればポジティブな業態変化になるだろう」
ファーストフード店と新聞販売店。一見、意外な組み合わせだが、地元の地理に詳しい新聞配達員の配達網は貴重だ。コロナ禍によって宅配サービスの需要が急激に高まっている中、今後の活躍が期待されている。
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