元厚労省官僚で元衆議院議員の豊田真由子氏が思うように進まない国内のワクチン接種について言及。歴史的必然性と政治主導による弊害を指摘した。
「ワクチンが遅れていることには2つ理由がある」
そのように話した豊田氏は、一つ目の理由に自国で開発製造をしていないことを挙げると「歴史的経緯があり、1980年代ごろまでは日本もワクチンをつくっていたが、予防接種禍といって、色々なワクチンでとくにお子さんに副反応が出て訴訟が起こった。国が訴訟に負け、メディアがセンセーショナルに報じたりしたことで『ワクチンは怖いものだ』というイメージが広がってしまった。私たちが小さい頃には学校で予防接種を受けたりもしたが、今は一切ない。『集団・義務』の方針を国が変えざるを得なくなった。『任意・個人』とした結果、日本のワクチン接種の状況は先進国の中で極めて悪い」と説明し、現在の状況について“歴史的必然”だと述べた。
さらに豊田氏は「入手をできても使われている数が少ない。2800万回分くらいのファイザーのワクチンが日本に届いているが、実際に使われたのは8日時点で400万回程度。15%くらいしか接種が進んでいない。自治体の方で人員やロジックの手当てが回っていないということだが、自治体が悪いということではなく、国もあらかじめ『これぐらいの数が、これぐらいに』といったことを言ってあげられてないので、自治体もてんやわんや。前もってできることは沢山あったはず」と話すと、お笑いタレントの千原ジュニアが「厚労省の初動が遅いということか」と疑問を投げかけた。
「ぶっちゃけて言うと…」
少し間を置くように切り出した豊田氏は「いま、政治家がすごく政治主導と言っている。昔は官僚も政治家も議論を戦わせ、言いたいことを言って政策をつくっていたが、とある時点から政治主導と言われるようになり『俺たちがやるから、お前たち(官僚)は黙っていろ』と政治家が言うようになった。官僚が言ったりやったりすると、怒られたり、左遷させられたりするのが始まっている。内閣人事局をつくり、政治家に歯向かったら飛ばすということを法的にやってしまって官僚の人たちは“物言えば唇寒し”で言えなくなった、動けなくなった、辞めちゃった…うつ病になったりして本当に機能不全になってしまっている」と問題点を指摘したうえで、次のように私見を述べた。
「政治主導というのであれば、危機下においても政策を実行して、立案して、責任とれる人たちじゃないといけないはずが、それができないのに『俺たちがやるんだ、と言ってやらなかったでしょ』というのが、今の危機的状況だ」(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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