悲願の初優勝を目指すチームにとって、この安定感は必要不可欠だ。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2020」ファイナルシリーズ、5月11日の第1試合で、渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)がトップを獲得。攻守にメリハリの効いた的確な選択を連発し、短期決戦の初日に出遅れたチームに初勝利を届けた。
この試合の対局者は赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)、EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)、日向、KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)の並びでスタートした。ファイナル初日の10日は松本吉弘(協会)と白鳥翔(連盟)が出場し、それぞれ4着、3着という結果に終わった渋谷ABEMAS。セミファイナルから持ち越したリードは大きく削られ、2位のKADOKAWAサクラナイツとは約30ポイント差と、ひとつの順位の違いで逆転される状況でファイナル2日目を迎えていた。
首位陥落のプレッシャーがのしかかる中での出場となった日向だが、2019シーズンのMリーグデビュー以降、直近のセミファイナルまで全ステージでプラスを記録するという抜群の安定感はこの日も健在だった。膠着した展開で供託と積み棒が溜まった東4局5本場、発・ドラの2000点(+1500点、供託2000点)で初アガリを決めてトップ目に浮上。経験豊富な3選手を相手に試合の主導権を握った。
その後、南1局に沢崎、南2局に村上と連続して満貫が飛び出し、全員が2万点台の大混戦で迎えた南3局。微差のトップ目かつ親番の日向は、イーシャンテンで両面ターツの選択を迫られる。周辺の筒子が多く切られ場況のいい2・3筒か、フリテンターツながら三色同順のタネとなる7・8索か。小考の後、日向は「(下家の)沢崎さんに鳴かせたくないのと、最高の打点」を追い求めてフリテンターツを残すことを選択。さらに上家の二階堂から切られた9索を鳴かずにスルーする打点へのこだわりを見せ、次巡にフリテンながらも高目で親満貫となるテンパイを入れた。
結果的に一連の選択が見事に的中。フリテンの9索を引き戻したアガリは、勝負の決め手となるツモ・平和・三色同順・赤の1万2000点。さらに続く1本場にもツモ・南・赤の6000点(+300点、供託1000点)でダメ押しを決め、攻守に隙のない麻雀でトップの座を安泰なものとした。
的確な状況判断の数々で、解説を務めたTEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)を「やっぱり日向さんはすごくゲームメイクがうまい」「メリハリが効いているし、やるべきことがわかっている」と唸らせた日向。インタビューでは理路整然と試合中の思考を振り返り、「こりゃ強いわ」「さすなた!」「ひなたん完璧」とファンを沸かせた。頼れる“ママエース”日向の活躍で勢いに乗った渋谷ABEMASは、続く第2試合でも多井隆晴(RMU)がトップを獲得して首位固めに成功。優勝に向けて大きく視界が開ける一日となった。
【第1試合結果】
1着 渋谷ABEMAS・日向藍子(最高位戦)4万100点/+60.1
2着 赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)2万7300点/+7.3
3着 KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)2万2600点/▲17.4
4着 EX風林火山・二階堂亜樹(連盟)1万点/▲50.0
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)
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