政府が去年導入した接触確認アプリCOCOA、そして新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの予約システムをめぐる騒動。さらに、中央と地方で一元化されていない各種システム。平井卓也デジタル担当大臣は「デジタル庁が発足していれば、予約システムが乱立することは避けられただろうと、今となっては思う」と、行政のDXの必要性を改めて訴えた。
慶應義塾特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏は「これまで省庁や自治体それぞれにシステム開発を発注していたが、そこを一箇所で作って使ってもらおうということで立ち上げられたのがデジタル庁だ。COCOAの開発に36億円かかったということにビックリしたが、やはり厚生労働省にアプリを作った人がいなかったことに原因がある。外から取ればいいじゃん、という話だが、それもできなかった。その点、当たり前のことだがデジタル庁は他国のように民間からIT人材を登用している。
もっと言えば、民間と行ったり来たりする“リボルビングドア”も進めていくべきだと思う。あんなに辛い仕事を、しかも安月給ではずっと続けてはいられないんだから、たまにIT業界に転職してドバっと稼いで、また国のためにちょっと頑張ろうと思って戻ってくるということを繰り返せる仕掛けを作らないと。公務員になったらずっと死ぬまで公務員とか、民間はずっと民間という時代ではないと思う。そう言うと“官民癒着”と言われるが、元の会社と癒着なんかしないよ。それは新聞社の人が終身雇用だからそう思うだけだ」と話す。
一方、こうした状況について、「コロナ関連の公的プロジェクト、関わったら負け」とツイートしたのが、LINEやZOZOの執行役員などを歴任したオンラインサロン『田端大学』主宰者の田端信太郎氏だ。
「GoToキャンペーン事務局の話もそうだったが、わかっていないヤツに本質でない問題でごちゃごちゃ批判をくらい、名前が出ている責任者については家にまでメディアが押しかけて、あれこれ言われる。しかも役所は人事から何から、基本的に“減点法”だ。道が死体で埋まるくらい人がバタバタと死んでいるのであれば、『アルマゲドン』のブルース・ウィリスのように“やってやろうじゃないか”と思うかもしれないが、優秀な人材ほどやりたくなくなると思う。“リスクしかない”というのは言い過ぎかもしれないが、“硫黄島守備隊”みたいな感じで、関わりたいとは思わないだろう。
デジタル庁はフリーランスの人を契約社員的に雇うなど、人事を柔軟にやろうと思っているのだろうが、事務次官でも俸給2200万円という今の役所の給与体系ではまともな人は来ない。仮に予算が1億円あるとしたら年収400万の人を25人並べるよりも、少数精鋭で年収3000万の人を3人並べて作った方が早く良いものができる世界だ。しかしそうなると、メディアは事務次官よりも高い年収3000万とはけしからん、血税を無駄遣いしていると言い出すのだろう。そして年収400万の人をずらっと並べて徹夜させれば許してもらえるかな、みたいな。しかし、ケチると返って高くつく。日本はマイナンバーくらいで怖がりすぎなんじゃないかとも思うし、そうした点も含めてメディア、そして納税者の理解も必要だ」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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