“時短協力金”大阪で約3割が未支給のまま…行政が作り出した「正直者がバカを見る」構造
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 26日、首都圏の1都3県は今月31日が期限の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置を再延長するよう、政府に要請した。

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 大阪府の吉村洋文知事も「感染者数は減少傾向にあるが、重症病床率が高い状況」だとして、緊急事態宣言の再延長要請を決定。25日、地上波の報道番組に出演した吉村知事は、時短要請に応じない店舗に「“正直者がバカを見る”ということはあってはならない」「お店に来るお客さんも陽性になったときに、その人が軽症でも(家に)帰ってきてお父さん、お母さん、家族など高齢者が陽性になって、命を失ってもそれでいいんかな?」と言及し、時短要請への協力を改めて呼びかけた。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、苦境に立つ飲食店。対象地域の中で短縮営業や休業の要請に応じた店舗には協力金が支払われるが、事業者への支給遅延が問題になっている。ニュース番組「ABEMAヒルズ」が、今年1月に申請された協力金の支給状況を独自に調査した結果、1都3県の支給率が90%を超えている状況に対し、大阪府は71%と、申請した事業者のおよそ3割が協力金を受け取れていない現状が明らかになった。

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※データは『ABEMAヒルズ』独自調べ

 BuzzFeed Japan News 副編集長で『ルポ風営法改正 踊れる国のつくりかた』(河出書房新社)の著者でもある神庭亮介氏は「行政側が“正直者がバカを見る”構造を作り出している」と指摘する。

「4カ月以上前に申請した協力金を、大阪ではいまだに約3割が受け取れていない。これは非常に問題がある。去年から『自粛と補償はセット』とネットでも散々言われていたにもかかわらず、まったく補償がセットになっておらず、支給スピードが追いついていない。開き直って要請を無視する飲食店も良くないが、苦しい状況が続く中で、行政側が“正直者がバカを見る”構造を作り出してしまっているとも言える。しっかり申請して時短要請に従っているのに、4ヶ月もお金を受け取れない。中には潰れてしまうお店もあるだろう。むしろ、潰れるのを(行政が)待っているのかとすら思ってしまう。できる限り迅速に、手続きも簡素化して時間がかからない形で進めてほしい」(以下、神庭亮介氏)

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 未支給の事業者には、一日も早い支給が望まれる協力金。今になって緊急事態宣言の再々延長の声も聞こえる現状に、神庭氏は「内容を見直す必要がある」と述べる。

「そもそも3回目の緊急事態宣言は“短期集中”という前提だった。短い期間だからこそ、広範囲に強い規制かける、と言って始まった。にもかかわらず、ズルズルと延びて『6月20日まで延長するのではないか』と言われている。“短期”という前提が崩れた以上、規制の範囲も見直す必要がある。劇場は営業できるが、映画館はダメ。美術館や博物館も休業、というチグハグな状態は解消し、一部緩和するべきではないか」

「緊急事態宣言は“伝家の宝刀”で、ここぞという時のために抜くもの。抜身で出し続けていればさびついて効力は弱まる。すでに緊急事態が日常になりつつある。デパートが『生活必需品』の範囲を拡大解釈して、高級品売り場を開けるような“面従腹背”的な動きも広がっているが、強い批判はあがっておらず自粛警察も静かだ。自粛と補償はセットであるべきなのに、補償が不足していたり、追いついていないから、『営業もやむなし』という考え方が広がっていくのだろう」

「感染状況に応じた判断で県によってスタート地点(開始日)が違っているのに、なぜゴールの方は『6月20日まで』と統一するのか。どのようなエビデンスに基づいて決めているのか疑問も残る。6月中には、東京オリンピックを無観客と有観客のどちらで開催するのか決めないといけない。オリンピックの開会式は7月23日だ。本番の1カ月前までに、できるだけ感染者数を下げたい思惑が透けて見える。『命を守るため』の緊急事態宣言なら我慢できても、『東京オリンピックのため』の緊急事態宣言では、国民も気持ちが離れてしまうのではないか」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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