2020年12月、福岡ドームの単独ライブをもって解散した音楽アーティストグループ「レペゼン地球」。リーダーの「DJ社長」を中心に福岡県出身の5人で構成され、YouTubeチャンネル登録者数は約230万人、Twitterフォロワー数は約60万人を擁し、若者を中心に人気を集めていた。
【映像】レペゼン解散問題はベンチャーあるある? “創業落とし穴”
その後、メンバーらは新しく「Candy Foxx(キャンディ フォックス)」として再稼働。「解散商法か?」など、さまざまな憶測を呼ぶ中、リーダー・DJ社長は6月1日にYouTubeで“ある動画”を公開。動画では、DJ社長が「“レペゼン地球”の商標権が手元にない(※“レペゼン地球”というグループ名が使えない)」と解散の経緯を説明した。
DJ社長が動画で述べた内容を抜粋すると、
・“レペゼン地球”の商標権がDJ社長の手元にない。
・DJ社長は会社設立当時、多額の借金を抱えていた。
・関わりのあった男性に相談すると「(音楽活動のための)会社、資本金100万円で立てとくよ」と言ってくれた。
・男性は「借金6000万全部返し終わったらこの時払った100万円、100万円ちょっとで買い取ってくれよ」と発言。
・借金返済後に会社の株を買い戻す約束を男性と交わし、経理も任せていた。
・DJ社長が借金返済後、株を買い戻そうとすると、約束はうやむやにされる。
・話し合いを重ねている最中にDJ社長が代表職を解任される。
上記が、レペゼン地球の解散の経緯だ。DJ社長は自身のTwitterでも「今まで沢山の方にレペゼン地球を応援して頂いていたにも関わらず、僕の過ちでこのような事になり、誠に申し訳ありませんでした」と謝罪。動画は再生数690万回を超える反響を呼んでいる。
■“ベンチャーあるある”なトラブル IT起業家・関口舞氏「創業時に株主間契約や投資契約を」
IT起業家でアプリクリエイターの関口舞氏は、DJ社長の告白動画に「ベンチャーあるあるで、同じような事例は周囲でも数多く見てきた」とコメント。
「通常は守秘義務があって、今回のように動画で報告するようなことはできないが、表に出ないトラブルは非常に多い。いわゆる、創業時に株主間契約や投資契約といったものをそもそも結んでいなかったり、またはどちらかにとって一方的に有利になっていたり、それらが原因になってトラブルが起きる」
また、動画ではDJ社長の証言のみ語られており、実際に男性がどのような行動をとっていたか、不明確な部分もあるとした上で、関口氏は「創業に関する本にも『創業時の株主間契約や投資契約はやるべき』と書いてあるぐらい、すごく言われる話だ」と語る。
「口約束していた内容が変わる、相手が失踪する・病気になる・逮捕される以外にも経歴詐称やシンプルに仲が悪くなって、対立する。思ったより儲かった場合もトラブルになりやすいし、逆に儲からなかった場合も『お前のせいだから責任を取れ』と言われやすい。しかし、お世話になっている人・信頼している人に対して、これから『一緒にやっていこう』といったときに、自分から『創業者間契約をどうするか』は言い出しづらい場合も」
マイナスな未来を予測して準備をするのは「あまり気が進まないもの」だと語る関口氏。自身も過去の経験として「2億円損したことがある」と明かした。
「事実、私も約2億円損したことがある。私が『2億円損した』と話すと、かわいそうと思われるかもしれないが、これはよくあることで、かつ誰も悪いことをしていないし、違法なことは何一つ起きていない。無能だった私の責任で、本当は最初の段階でこちら側の弁護士と一緒に契約を確認すべきだった。なのに『雰囲気を悪くしたくないな』と思い、大丈夫です、と言ってうやむやなままにした私の“お人好し代”としての損失が2億円だ。晴れていたから傘を持たずに外に出て、帰りに雨に降られるようなものだ」
ゆくゆくのトラブルを避けるために、起業時はどのような行動を心がければいいのだろうか。関口氏は「“お人好し”の人に、私が今になって伝えられること」として、こう話す。
「創業時に創業者間契約、投資契約の合意を書面で交わしてほしい。内容はどちらかが不利にならないよう、弁護士さんと一緒に作ったほうがいい。相手に言い出しづらいときは『自分が病気になったり、倒れたりしたら、残された人に迷惑がかかるので、弁護士さんと一緒に作ります』と言うべき」
その上で関口氏は、レペゼン地球のケースは「アーティストにファンがついていた」として「普通は代表を解任された場合、自分の事業やサービスを取られてしまう形になるが、そうではない」と見解をコメント。「ファンであれば会社の箱がどこなのか、気にならないし、よりもっと応援したいと思うだろう」と語った。
DJ社長が公開した動画によると、現在は弁護士を立てて男性側と係争中だという。
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