与えられた状況で大きなものを望まず、確実な選択を繰り返す。そうやって昨期は初優勝を果たしたU-NEXT Piratesが、2020シーズンはリーグ7位という結果でレギュラーシーズンで敗退した。運や流れといった不確定要素を排除し、ひたむきに効率を追った戦い方は現代的。レギュラーシーズンだけで90試合に及ぶ長期リーグ戦では、自然と順位が上向いていくはずだったが、勝負どころでの連敗が響き、連覇どころかファイナルシリーズの2歩手前で姿を消した。この現実に選手からは「考えないといけない」と壁に向き合うような言葉が出ていた。
【動画】U-NEXT Pirates、レギュラーシーズンでの戦い
“船長”とも呼ばれるチームリーダー小林剛(麻将連合)は、個人3位の+337.5。ところがプラスポイントだったのは小林だけで、瑞原明奈(最高位戦)が21位の▲117.9、石橋伸洋(最高位戦)が24位の▲189.9、朝倉康心(最高位戦)が29位の▲294.0。朝倉が「非常に残念。自分のせいで負けた」、瑞原も「個人的に目標としていたことが全く達成できなかった」と反省の弁を残した。さらには小林も「個人的には成績はそこそこよかったんですけど、かなりいい偶然に恵まれた部分があったので、僕ももっとポイントを伸ばせたと思う」と、物足りなさを感じていた。その中で一人、印象的だったのが石橋の言葉だ。
石橋 パイレーツの麻雀はトップが少ないけれど、それが僕らはベストと思ってやっていますし、予選を突破しやすい打ち方だとも思っています。それでも突破できなかったのは残念ですし、何かしら来年、打ち方を大きく変えるかはわからないですが、考えないといけない。
Mリーグのルールは、素点に加えトップから+50、+10、▲10、▲30というポイントが加算されるルール。トップ1回・ラス1回と、2着1回・3着1回であれば、平均順位は同じでも、ポイントでは前者が得をする。そのため多少のリスクを犯してもトップを狙う選手、チームが多い。その中でもU-NEXT Piratesは、ブレずに無理なトップ狙いをしない。昨年はその戦い方でレギュラーシーズン6位、セミファイナルシリーズ4位とぎりぎりで通過し、ファイナルで一気に抜き去り優勝した。ただし今年はレギュラーシーズン残り8戦で5位まで浮上しながら、そこから急降下。好不調の影響を大きく受けない戦い方のはずが、大事なところで悪い流れに飲み込まれた。上位争いの常連となるためには、この流れに逆らってでも航海が続けられる、たくましさのような戦い方も持ち合わせるべきか。石橋のひとことは、そんな問題提起だ。
安定した戦いは、逆に言えば毎回ボーダーラインぎりぎりの戦いを招きやすいという考え方もある。とはいえ2019シーズンの覇者の戦い方を、今期の7位だけを理由に変えるべきかも悩ましい。来期、2度目の頂点を目指す海賊たちは、どんな手法でお宝を狙いに来るのか。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)