9都道府県で解除されることになった「緊急事態宣言」。ただし、東京や大阪など、7つの都道府県については「まん延防止措置等重点措置」に移行する方針で、ネット上には「何が変わるの?」「私権制限への意識が薄れていってない?」といった不安の声も上がっている。
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■「メリハリのない2つの緊急事態法制があるということ自体、効果を薄めている」
17日の『ABEMA Prime』に出演した国民民主党の山尾志桜里衆院議員は、菅総理の記者会見の内容を踏まえ「毎回、“緊急事態宣言を解除する時にはリバウンドを警戒する、もしリバウンドが確認されたら、もう一度規制する”みたいな話が出てくるが、私はそれは違うと思う」と指摘する。
「規制の効果が出ているということは、緩めればリバウンドが起こるのが当たり前。逆にリバウンドが起きないということは、皆さんが緊急事態宣言に慣れてしまって、“規制の意味はなかったね”、ということなのではないか。そうだとしたら、緩めたり解除したりした時にリバウンドが起きても大丈夫なように、医療環境や水際対策をしっかりと準備しておくことが大事なのであって、“また規制を強化するするかもしれないから、気を引き締めてね”みたいなことを言うのは違うと思う。
私は以前から、緊急事態と平時=普通の日常との間に中途半端な“グレーゾーン”を作ってしまうと効果がなくなると考えていて、国会の議論でも訴えてきた。実際、多くの方が自分は緊急事態にいるのか、まん延防止にいるのか、それとも平時なのか、よく分からなくなってきていると思う。
実際、緊急事態宣言とまん延防止措置にはほとんど違いがない。“休業してください、時短営業してください、お酒を出すのをやめてください…”といったことを政令で追加し、行政が運用しているわけだが、当初は法的義務のない“要請”だったのに、従わないところが出てきたからと“命令”、さらに“過料”を科すこともできるようになった。しかも宣言の場合の過料は30万円、まん延防止は20万円という違いだけ。これほどメリハリのない2つの緊急事態法制があるということ自体、効果を薄めていると感じる」。
■まん延防止等重点措置では「お酒の提供禁止は法的にできないはずだ」
緊急事態宣言の解除で注目されるのは、やはり飲食店の酒類提供だろう。政府の新たな対処方針では一定の要件を満たした飲食店では午後7時まで酒類を提供できるとしている(営業は午後8時まで)。ただ、感染状況に応じて、知事の判断でさらなる規制も可能としており、東京都は人数制限などの条件で酒類の提供を認めるかどうかの最終調整に入っていると報じられている。
山尾議員は「まん延防止に移行すればお酒の提供ができるようになるのか、ということを皆さんも気にされていると思うが、法的にお酒の提供禁止はできないはずだと私は考えている」との見方を示す。
「私もこの境目が気になっていたので、2月の法律改正の際、西村大臣に聞いてみた。すると、“時短要請よりも厳しいことはできない。休業要請はできない。また、法律に書いてないこととしてできるのは、熱がある人の入場禁止、ソーシャルディスタンスのための列の整理、消毒、従業員への検査のお願いは追加できる”という主旨の回答だった。
確かに、営業してもらうためにもこの4つは必要だよねと思う。だけど、居酒屋の皆さんに対してお酒を出すな、カラオケ屋さんに対して歌わせるなというのは、この4つとは全く質が異なっている。まん延防止ではできないと言っていたはずの休業要請とほぼ同じレベルのことをやっているということだ。これは政府、西村大臣が言っていた“境目”を完全に越えてしまっていると思う。
憲法22条で“営業の自由”は保障されているわけで、もうちょっとやり方があるでしょうと思う。居酒屋さんにしてもカラオケ屋さんにしても、1人で来たお客さんの場合はどうなのか。お店の面積や、感染防止対策の努力を講じているかどうかによって、なぜ対応を分けてくれないのか。そういう細かいことをやらずに、とりあえず宣言でもまん延防止でも全部やめてねというのは、憲法が求めているはずの、“やるなら最小限だよ”という考えに反しているのではないか」。
■オリンピックは「無観客、入国者は原則ワクチン接種済みの方で」
そして気になるのが、開幕の迫る東京オリンピックだ。7都道府県のまん延防止等重点措置の期限は、開会式直前の7月11日となっている。
山尾議員は「菅総理は入国する関係者の人数を減らすと言っているが、実は4月だけでも991人が日本に入っていて、しかも9割にあたる861が“特別枠”なので14日間の待機がなかった。これはちょっとまずいんじゃないか。このような“特別枠”の入国者が増えてくれば、水際の大きな穴につながる可能性もあり、オリンピック自体が日本の感染状況を悪化させた、ということにならないか危惧している。
コロナ対策については、どこの国でも先が見えないことが多く、政府は様々な批判を浴びながらやってきている。感染を抑止し命と健康を守ることと、経済的な問題で失われる命が出ないよう経済を回すことのバランスを取るために、悩み、右往左往しているということを理解されている方も多いと思う。
ただ日本が他国と違うのは、オリパラという“第3の要素”が入っていること。むしろ政府の焦点はここにあるんじゃないの?それはちょっと違うんじゃない?という、国民の意識とのギャップが生まれていると思う。私は、やるなら無観客。外国からはできるだけワクチン接種を済ませた方に限って来ていただくのが良いと思っている。チケットの払い戻しのことを言う人もいるが、この1年、コンサートだってスポーツの試合だって、原資すら厳しい中でやってきたわけだ。オリンピックは手続きが大変だから、払い戻しが難しいから、という主張を理解してもらうのはなかなか難しいと思う」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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