「今回和田様がですね、国際刑法7条違反ということで、訴追手続きをさせていただきますので。具体的にはワクチンを強要したという罪です。死刑になると思います」
【映像】京都府伊根町に殺到 “反ワクチン派”の脅迫電話(音声あり)
死刑になる――。そんな物騒な留守番電話を受けたのは、京都府伊根町の町議会議員、和田義清さんだ。
「議員をしていればこういう騒動に乗っかったよくあること(電話)だなと思っていた。電話をかけてくれば、議員としてそれなりの電話対応はするつもりではおりました」(以下、和田義清さん)
伊根町では今月6日、京都府内でいち早く12歳以上への新型コロナワクチン接種を始めた。すると、町に抗議の電話が殺到するようになった。電話は「ワクチンの危険性を把握していないのではないか」という内容から、「殺すぞ」といった脅迫めいたものまであり、町は警察に相談している。
留守番電話に入っていた「ワクチン強要」という言葉について、和田さんはこう話す。
「強要したつもりはまったくない。もちろん国からの指導でやっている。それを議会でお金を使って『希望をされる町民の方にはワクチン接種をします』と言っている。議案として議会にかけられるわけですから、我々はそれを了承している。そういった意味で先方(留守番電話の相手)は『了承しているということは強要しているのと一緒じゃないか』と言っておられるのかなと」
また、和田さんによると、町役場にかかってくる抗議電話は、ほとんどが町外からだという。
「いくら町外の方でも、受けた電話に対しては、もちろん議員としてそれなりの対応をしますが、自宅兼店舗なので支障が出ます。普通に店舗を開けていたり、議員に相談ごとに来られたりした方々がいるのに、そういう電話をしていると、議員活動としての業務にも支障をきたします」
SNSを覗くと、新型コロナワクチンの接種反対派が“連携攻撃”を呼びかけるような投稿が確認できる。
「みんなで協力して『今日は△△県□□町にみんなで電話しよう!』みたいなノリで、数百件近く一斉に電話をかければ、ワクチン接種を考え直すかもしれないので、みんなで電話攻撃しましょう!」
「過激な言葉は使わないように、なるべく冷静に揚げ足を取られないように気をつけてください」
10代へのワクチン接種をいち早く始めたことで、抗議や強迫などの電話が相次いでいる京都伊根町。吉本秀樹町長は「(抗議の)電話が鳴りっぱなしで本当に困っている。抗議の意図が我々の業務を妨害することであっては意味が違う」と心境を語る。
この問題について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した明星大学心理学部准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「ネット上で扇動する人がいて、それに乗る人がいる。『一緒になって抗議をしましょう』といった行動は完全に否定されるべきものじゃない。しかし、そのグループの中だけで感情的なやり取りが行われると、どうしても相乗効果的に行動や判断が極端になってしまう。行き過ぎた抗議は自制されるべき」と指摘。
こういった集団が持つ特性について、藤井氏は「今はワクチン推進派が大半を占めている。新型コロナを抑える有効な手立てとして、推進派の声が大きくなるほど、一方でワクチンに対して不安や不満を持っていたり、恐れている人は仲間を見つけて連携し、『一緒に抗議をしよう』といった行動になる」と話す。
一方で藤井氏は「客観的な判断として、ワクチンは多くの人に打たれるべきだろうと思うし、私も医療従事者として2回打った。しかしワクチンを接種するかどうかは、個人の判断に委ねられている。打ちたくない人は打たなくていいんだという前提は守るべきだし、打ちたくない人がいるということを加味した上での発信や情報の伝達が行われるべきだ」と、警鐘を鳴らす。
「例えばテレビ番組で毎日のようにワクチン接種のニュースをやっているが、そういった番組に出演するのは感染症やワクチンの専門家だ。ネット上でも、オリジナルのサイトを立ち上げるなど推進派の専門家の連帯もある。実績のある先生方だし、正しい情報や理解はもちろん必要だが、最終的には当然『ワクチンは打った方がいいですよ』という旨の言い方なることがほとんど。いくら正論でも発信が偏ったり、やりすぎると、逆の反発も当然強くなってしまう」
「実際、現状では『ワクチンによる効果の持続性』と『数年後など長期的な身体への悪影響』については、データが十分に揃っていないか、あるいは存在しないので、どんなに専門の先生でも明確には答えられないこと。そういう意味では『安心してワクチンを打ちましょう』というのは一部の人にはナンセンスで、『ワクチンは不安になりながら打つもの』だと思う。ワクチンはあくまで個人的判断の中でメリットとデメリットを比較して、打ちたい人が打つものだ」
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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