2日間で不法越境8000人、北アフリカから欧州へ移民急増も…議論が進まない理由
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 有刺鉄線が張り巡らされたフェンスを乗り越える人々。モロッコからスペインに入ろうとあらゆる手段を使い、越境を試みている。

【映像】海を越えてきた難民の赤ちゃん(1分30秒ごろ~)

「モロッコには職がない。仕事が見つからないのです」(現地の女性)

 モロッコとスペイン領・セウタとの国境付近では、2日間でおよそ8000人が不法に越境。海を泳いできた若者が溺れて死亡する事態も起きている。

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 スペインのサンチェス首相は「不法移民の到来はスペインとヨーロッパにとって深刻な危機」として、国境付近にスペイン軍を配備。多数の越境者がモロッコに送り返された。

 今年1月から5月の北アフリカからの移民の数は、リビアなどからイタリアに渡る中央地中海ルートで、昨年同期比の2.5倍、モロッコなどからスペインにわたる西地中海ルートでも、2割ほど増加している。6月に入っても、移民は続々とヨーロッパに向かっていて、中には小さな赤ちゃんの姿もあった。

 イタリア最南端のランペドゥーサ島付近では北アフリカを出発したボートが地中海で漂っているところを保護されるなどのケースが相次ぎ、その数は1週間で1000件を超えた。

 なぜ、いま北アフリカからの移民が増えているのか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』の取材に、長年ヨーロッパなどで現地取材を行ってきたジャーナリスト・増田ユリヤさんは「それぞれの北アフリカの国が、このコロナ禍で経済的に非常に追い込まれている」と語る。

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「暖かくなってきて、移動はやっぱり夏の間がいい。だからみんな一生懸命逃げよう、ヨーロッパに行こうと考えている。それが増加の理由だと思う。ただ、行ったところで、ヨーロッパは今までも目いっぱい移民を受け入れている。自分たちも新型コロナで経済的に大変な状況で、今後どのように整理していくのか。いまそれが問題になっている」(以下、増田ユリヤさん)

 EU各国は、6月24日、25日に行われた首脳会議で移民問題について協議した。しかし、受け入れの分担など、具体的な決定はなかった。

「難民の人たちがヨーロッパで初めて入った国で難民登録をするというルールがある。そのルールを守らなければいけない。それぞれの国でどのように、お金や人を分担するのか。話し合いをしていますが、新型コロナの状況もあり、なかなか議論が進まないというのが現状です」

 議論を難しくしている理由としては、ドイツが9月に総選挙を、フランスが来年4月に大統領選挙を控えている事情もある。国民の軋轢を生みやすい移民や難民の受け入れの問題は、選挙に与える影響も大きいと見られている。

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 一方で、経済的な観点からは移民・難民に対して「期待もある」と増田さんは指摘する。

「ヨーロッパでは、生産人口、労働できる人口が減ってきている。難民の人たちが入って来ることによって、そこを補えるのではないかといった見方も強い。つまり、正規の形で難民として入ってきて、その人たちを保護する。教育の機会を与えて、自分の国のために働いてもらえば、長い目で自分の国の利益になるんじゃないか。そういった考え方もある。だから『とにかく他の国から来た人は出ていけ』ではなく、自分の国の将来をどのように築いていくのか、考えて判断する必要がある」

 労働人口の減少に悩むヨーロッパ、経済苦から越境する北アフリカの人々。今後国際的にどのような影響を与えるのか、注目が集まっている。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

【映像】なぜ? 北アフリカから欧州へ移民急増
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