前東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏が、今月23日に最高裁が夫婦別姓が選択できない現行制度は違憲だとする訴えに関して「夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は“合憲”」とする判決を下したことについて言及。「これは裁判所の仕事ではなくて、国会で国会議員が考えるのが基本。もう少し頑張って議論しろ」と述べ、国会議員の怠慢を指摘した。
最高裁の判断は今回で2回目。前回も「同姓であることが社会的に根付いている」として“合憲”の判断に。あれから6年、時代の流れも大きく変わっているが判決は前回と同じ結果となった。弁護団長の榊原富士子弁護士は判決について「違憲という結論には至りませんでした。2015年から6年近く経って、世論も相当変わっていますので大変残念です」とコメントしている。
また、夫婦別姓をめぐっては、与党・自民党内でも意見が割れている。高市早苗議員が「選択制だからいいじゃないかというお声も伺うことがあるが、選択制だからこそ、世の中の制度に統一性がなくなる」と訴えれば、稲田朋美議員は「夫婦だけでなく、子の氏の問題でもある。不利益をこうむっている人の不利益を解消することができるかという問題」と発言。
また夫婦別姓に関しては「子どもはいじめられる」「子どもの福祉に悪影響」といった声も上がり、その子どもにまで議論の矛先が向いている。
舛添氏は「この問題は、夫婦別姓にするにしても子どもがどっちの姓をとるのかというのが問題。別姓にしたいという人もいるから、そろそろ本格的に考えないといけない。今、裁判所が右だとか左だとか言うことではない」と主張。国会で議論を尽くし、判断すべきだとの考えを示した。
自身も外国籍のため夫婦別姓で、両親の名字が異なる家庭で育ち、ロシア人として初めて日本の司法試験に合格したオリガ弁護士は「民主主義社会が日本の根幹にある。舛添先生が言うように国会議員がやらなければいけない仕事。6年前に判決が出されて合憲だと言われた中でも社会情勢は色々変わっている。それを一切考慮せずに国会に丸投げしてしまうと、保守的な政治家が非常に多いので、なかなか今後変わっていくのも難しい。今回夫婦別姓を望んでいた方からすれば納得いかない判断、理由付けであっただろう」と話し原告側に寄り添う一方、自身の経験から「そこに違和感を感じたことはない」と話す。
「家族は家族。母親を名字で呼ぶことはないし、名前で呼ぶことが多いので、名字が別だから家族としての一体感がないというわけではない。夫婦別姓は、結局のところ強制するかどうか、法律婚するのであれば強制するかどうかの話だと思う。強制までやっているのは日本くらいだと思うので、少しずつ国会も動いっていいのではと思う」
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定について15人の裁判官のうち、「違憲」したのは4人。さらに女性判事2人のうち「違憲」したのは1人だった。判事には裁判官だけでなく、弁護士・学者・検察官・行政官なども含まれている。
この人選について、オリガ弁護士は「基本的には内閣が決めていて枠がある。山口厚判事のように本来であれば、学者であるにも関わらず弁護士枠として採用されたりすることもあるので枠があるとはいえ、少し恣意的な運用がされているのも現状」と指摘。
そのうえで舛添氏は「15人の内4人は合憲ではないと言う方もいるので、問題意識を持っている裁判官もちゃんといるということだ」と述べた。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側