ダークウェブでも売買…情報商材などの勧誘に利用される個人情報
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 見知らぬ電話番号からの着信の経験、誰にでもあるのではないだろうか。背景にあるのが、売買される個人情報だ。元“情報売買屋”だという山田氏(仮名)よれば、ネットから漏れた個人情報や、持ち込まれた個人情報が転売されており、業者のサイトにアクセスすることで、誰でも簡単に個人情報を買うことができてしまうのだという。

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 「スマホを持っている人は知らない番号から電話かかってくることがあると思うが、情報商材や化粧品の業者などが、個人情報を買って、かたっぱしから営業の電話をかけている。特に住所、名前、職業、年収などを揃って提出する銀行口座やクレジットカードの情報が最も高く売り買いされている。詐欺に使う人たちもいたと思うが、私も月に100万円以上は楽勝で稼いでいた時期があった。包丁は本来料理に使うべき物だが、誰かが人を殺すのに使ったとしても、売った人が罪悪感にかられるのかと言ったらそうじゃない。売買屋もそんな感覚だと思う」。

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 TMI総合法律事務所の大井哲也弁護士も、「個人情報保護法上、一定の要件をクリアすれば売買自体は違法ではない。例えば本人の同意を得た上で第三者に売買する、提供する。あるいは本人の同意がない場合も、“第三者に提供しますよ”ということが公表されていて、本人から“やめてくださいよ”と言われた場合に提供をやめること。さらに個人情報の売買について個人情報保護委員会に届出をすること、といった要件を満たせば、売買自体は違法にはならないケースがあるということだ」と話す。

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 一方、企業や団体へのサイバー攻撃によって流出した個人情報が売買されているケースもあるのだという。「インシデントに対応している私どものような弁護士には、公表されてない案件についても相談が舞い込んでくる。その意味では、公表されている案件は“氷山の一角”と言えると思う。また、ダークウェブを使えば、情報のマーケットを誰が運営しているか分からないし、売る方、買う方についても分からない。転売も起きやすく、犯罪の温床になりやすい」。

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 大井弁護士とダークウェブの調査を行ったデロイト トーマツ サイバー合同会社のセキュリティエンジニア・神薗雅紀氏が見せてくれた画面には、日本人のクレジットカードの情報が。「“フレッシュジャパン”(新しい日本のクレジットカード)と書かれている。これが150ドルだ。リモートワークに急激にシフトしていった結果、設定の不備や脆弱なポイントも数多く作られてしまった。もともとは匿名性を保持したり、追跡を困難にしたりするために作られたのがダークウェブであって、必ずしも悪い目的のためにあるものではない。しかしダークウェブ上には、“コロナ禍はサイバー攻撃の“ゴールドラッシュ”だよという書き込みもあったし、窃取した情報が流されていることも多い」。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「“名簿屋”のようなビジネスはネットがない頃から存在していて、それこそ車のナンバーから所有者を照会することだってできたし、僕も新聞記者時代には取材の過程でやっていた。それより昔の1960~1980年代には騙して何もない土地を高額で売りつける“原野商法”というのがあった。さらにその被害者の名簿が出回り、こうすれば高く売れますよという“第2次原野商法”まで出てきた。その後もマルチ商法などに騙される人が出るなど、やはり被害に遭ってしまうケースが後をたたない。今も“メールアドレス集”のようなものが出回っていて、集中的に“情報商材を買いませんか”とか“オンラインサロンに入りませんか”みたいな勧誘がされているのだと思う。

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 一方で、個人情報保護法が2005年に施行されて一気に厳しくなり、我々の側も情報を守らなきゃという意識にはなってきた。ただ、住所、氏名、生年月日、性別の基本4情報については、実際にはバレたからといってそんなに実害はない。昔はみんな電話帳に電話番号を載っけていたわけで、それを見て営業の電話をかけていたわけだし、SMSで詐欺のメッセージが来ても引っかからなければ大丈夫だ。その意味では、あまりにもプライバシーについて過剰に言い過ぎだと思う。やはりプラットフォームも含め、至る所に自分の情報が存在していることが漠然とした不安を感じさせる要因になっているのではないか」と指摘していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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