「ちょっともう、一線どころか、ずいぶん超えたところに来ちゃったなと思っていて」。10日、パーソナリティを務めるラジオ番組『福山雅治 福のラジオ』(TOKYO FM)で、ミュージシャンで俳優の福山雅治が静かに怒りを滲ませた。
・【映像】芸能人家族にプライバシーは?子どもの姿を掲載する写真週刊誌のモラルを問う
「“芸能人の子どもだから、関心事だから、掲載するんです”と。だけど(子どもたちは)デビューしているわけでもなんでもないから。“モザイクで分からないようにしています”というのが一つのルールみたいになっていて。だけど、子どもが幼稚園に通っているわけですよね。そこを毎日通るわけですよね。毎日通るその場所で、全然知らない人が写真を撮っている」。
「芸能人の場合は、撮られちゃうんですよ。報道の自由の名の下に、“これは掲載されて仕方ないんです”と。でも、“僕たち家族が我慢していればいいだけの話だから、我慢しようね”って言うのは、違うだろうと」。
自身にまつわる報道についてはこれまで30年間にわたりスルーしてきたという福山。取り上げることが、かえってそのメディアの宣伝に繋がってしまうからという理由からだという。しかし今回の報道については、子どもや家族を貶めるものではないとしながらも、媒体名や写真の詳しい内容は伏せたまま、リスナーに違和感を訴えた。
12日の『ABEMA Prime』に出演したカンニング竹山は「改めてルールを考える時期に来ている」と訴える。
「昔は紙媒体しかなかったから、買いたい人が買うだけだった。もちろんそれだってダメなんだけど、放っておかれた結果、紙媒体がデジタル版を作って宣伝も兼ねてTwitterなどにバンバン出すようになった。紙媒体の事情としては、ネットが出てきて雑誌が売れない、社員たちの食い扶持もなくなってくる。だからこそもっとスクープを取りたいという気持ちになる。それもわかる。
でも、福山さんのおっしゃる通り、モザイクをかけていたとしても、お子さんとか奥さんとか、親族はダメだと思う。今一度、ルールを考えないといけないところにきていると思う。もっと言えば、芸能人本人でも本当は出しちゃだめだと思う。僕の場合、プライベートは1枚も出して欲しくない。個人の方がSNSに“竹山発見”みたいな感じで写真をアップするのも、本音を言えばめちゃくちゃ嫌なタイプだ。
例えば芸能人がスーパーで買い物をしている姿を撮られて“独身男の寂しい夜”みたいなキャプションを付けて出される。一応、事務所にも“出しますよ”という電話が来るけれど、拒否権はない。でも、その時間はギャラをもらっているわけではないし、悪いことをしてるわけでもない。ただ普通に生活をする中での一コマだから。逆に芸能人の中には出して欲しいという人もいる。その意味では、やっぱり事務所、あるいは本人に通さないと。それでダメと言われたら、出すのはやめようよ」。
また、自転車に子どもを乗せているところを週刊誌に撮られたことがあるというお笑いタレントのパックンは「“頑張ってるパパ”、として好感度が上がるかもしれないとも思った。ただ、その時にサンダルに黒い靴下を履いていたのはモザイクをかけて欲しかった(笑)」と冗談を飛ばしつつも、「一人の大人として芸能人と結婚するという判断をした配偶者については仕方がないかもしれない。でも、子どもは違う。モザイクをかけていたとしても、子どもは撮っちゃダメ、掲載しちゃダメでしょと思う。今は分からなくても、絶対に分かる時が来る。“あそこに隠れてたな、今日は隠れてないのかな?”と不安に駆られながら通園することになる。そういう思いをさせていいのか。
週刊誌はネットの闇の一角ではなく、メジャーなメディアではないか?倫理観に沿って報じるべきだし、法的な措置は取れないということなら、読者がボイコットしてもいい。福山さんも、そういう効果も狙って言及したのではないか」。
テレビ朝日の田原萌々アナウンサーは「表に出る仕事をしている人はいつでもどこでも撮られてもいいというのは、本当におかしいことだと思う。よく行く場所を特定されてしまったら、もうそこに行くこともできなくなるし、もしかしたら近くに住めなくなるかもしれない。そう思うと本当に怖い」と話す。
一方、紗倉まなは「表舞台に立つ以上はそういう覚悟を持て、それが嫌なら仕事をやめろみたいなことを言われることがある。でも、いくら覚悟をしていても許せないことはある。私は違う理由でモザイクをかけている側だけど(笑)、子どもに関しては、モザイクをかければいいという問題なのかと思う。ただ、インスタに自分の子どもの写真をモザイクなしに載せている方もいる。それだって子どもの意見や権利を考慮したものではないと考えると、自分のことを棚に上げてメディアを責めてしまっている部分もあるかもしれない」と指摘。
ジャーナリストの堀潤氏は「僕はNHKのアナウンサー時代、公共の電波に乗っている以上、公人に準ずると思った方がいい、信号が点滅したら横断歩道は絶対に渡るな、コンビニでエッチな本を読むな、すでに撮られているかもしれなんだと、研修で教えられた。一方で、メディアというのは、最終的には見る人たちによって判断されるもの。だから一方的にけしからん雑誌だと言っていても、何も変わらない。裁判をやって負けても、売れるなら出し続けるというのが基本スタンスのはずだ。その意味では、やっぱり僕は見る人が悪いと思う」と話す。
「剥き出しのプライバシーほど魅力的だと思うのが大衆社会の常だ。嫌悪感を示しながらもやっぱり見ちゃうのが怖さだ。流れてきちゃったなと思いながらも、つい手が伸びる、チラッと確認する自分がいる。その時に、何だよこれ、人権侵害だろう!こんなの見たくないよ、こういうのじゃないんだよ。俺たちがあなたの雑誌に期待してるのは!とTwitterにガンガン通報したり、周りの人にこの雑誌は最低だよと言う、そういうアクションが取れてこそだ。そうでなくても、やっぱり俺見て見ぬふりしちゃったな、福山さんごめん、って思える人が増えたらいい。だから福山さんがラジオで訴えたのも、やっぱり買ってしまう、クリックしてしまう皆さんにわかって下さい、と訴えているように僕には聞こえる。問われているのは俺なんだと。こんな記事を出して、ひどいよと言いながらやっぱりページをめくっている。その欲望に歯止めをかけられる自分だろうか、ということが問われている」(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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