愛知が生んだ天才棋士2人の激闘の中で、別の戦いも繰り広げられていた。7月13、14日に行われたお~いお茶杯王位戦七番勝負の第2局。この正立会人を務めたのが広瀬章人八段(34)だ。過去にはサポート役である副立会人を務めたことがあったが、正立会人は今回が初。2日目の朝には、最大の見せ場である封じ手開封という“一大イベント”に臨んだが、はさみを持つ手がプルプルと震える様子に、見ていたファンもドキドキすることとなった。
王位戦の番勝負は持ち時間8時間の2日制。1日目の午後6時を迎えた時点で、手番の棋士は翌朝に指す手を記して封筒に入れる「封じ手」を行う。これを受け取って保管、翌日にはさみを入れて開封し、対局を再開するのが正立会人の仕事の中でも、最も注目を浴びる。
1日目から、この封じ手開封について緊張すると語っていた広瀬八段は、対局再開となる午前9時にぴったりタイミングが合うように、封じ手を取り出した。ここまではイメージ通りだったが、しっかりとした封筒を開くには、やや頼りない小さなはさみ。何度か力を入れたものの、なかなかうまく切れなかったこともあり、中継していたABEMAでも手が震えるシーンが流された。
これには視聴者からも「広瀬さんドキドキw」「頑張れ!」「めっちゃ緊張してる」「手が震えている」「ハサミが小さい」と、この瞬間ばかりは対局者ではなく広瀬八段に大量のコメントが寄せられることとなった。
なんとか封を開け対局再開にたどり着いた広瀬八段は、直後にABEMAに登場。「仕事を終えてきました」とホッとした表情で語り始めると、「思ったより緊張しますね。紙を切るだけなのに、これだけ緊張することがあるんですね」と、時間にして1分か2分かといった出来事でも、やはり大仕事だったと振り返った。また、切る前にはさみを一度落としてしまったことには「うまく持てなくて。それで緊張していると思われているんだろうなと思って、ふと冷静になりました。はさみがちょっと小さくて、なかなか入らなかったです」と苦笑いもしていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)






