人工呼吸器につながれた女性、激しい呼吸音…オーストラリア政府のCMに物議
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 インドで最初に確認された新型コロナの変異ウイルスである「デルタ型」。最も感染力が強いと言われているこの変異ウイルスは、今世界中で猛威を振るっている。

 感染の封じ込めに成功してきたオーストラリアでも、ここにきて「デルタ型」の感染が急拡大。その対策として、オーストラリア政府が若者らに注意を促そうと流し始めたテレビ広告が、物議を醸している。

【映像】問題になっているテレビ広告の動画(冒頭~)

 実際の映像を見てみると、最初に“警告”として「次の動画新型コロナウイルスの重症患者を表現したものです。視聴者の中には、この動画を見て、苦痛を感じる人もいるかもしれません。ご自身の判断でこの先は見ることをお勧めします」と視聴者への注意が流れる。

 映っているのは人工呼吸器につながれ、苦しそうな表情をする女性だ。激しい呼吸音が聞こえた後、画面には「新型コロナは誰にでも感染する可能性がある」「外出を控えて検査を受け、ワクチン接種の予約を取るように」といったメッセージが表示される。 

人工呼吸器につながれた女性、激しい呼吸音…オーストラリア政府のCMに物議
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 米CNNによると、連邦政府のケリー主席医務官は11日の記者会見で、生々しい描写が含まれていることを認める一方、「それが狙いだ」ともコメント。しかし、市民からは「無神経な脅し作戦であり、混乱を生む可能性がある」と懸念の声が上がっている。ネット上でも「当然批判は殺到するだろうけど危機感を高める手段としては全くおかしくない」「不安をあおる報道やCMは法律で犯罪にするべき」など、賛否の声が寄せられている。

■ 生々しいCMはやりすぎ? 「徹底的に対策」オーストラリアの“国柄”

 一時は新型コロナウイルスの抑え込みに成功したオーストラリア。ところが、6月下旬から少しずつ感染者が増え、7月14日には108人の新規感染者を確認。日本と同じようにリバウンドへの懸念が高まっている。

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した『WIRED』日本版編集長・松島倫明氏は、オーストラリアについて「感染者が100人を超えてくると、すぐに首都のシドニーをロックダウンして、徹底的に対策をする国柄だ。今回、政府が出したテレビ広告からもわかるように、市民にステイホームやワクチン接種などを明確に呼びかけて、コントロールする」と話す。

人工呼吸器につながれた女性、激しい呼吸音…オーストラリア政府のCMに物議
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 14日、東京都が確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は1149人だった。また、翌15日は1308人と、東京五輪開催まで残り約一週間にもかかわらず、2日連続で新規感染者が1000人を超える結果になった。この状況に松島氏は「もう緊急事態宣言に効果がなくなってきている」と見解を示す。

「混雑率はコロナ以前と比べると減少しているものの、朝や夜の通勤時間帯にはまだたくさんの人が電車に乗っている。街に出ている人が多い以上、この数字(東京の新規感染者数)は不思議ではない。ステイホームをしたくても『会社がリモート勤務を許してくれない』という人もいるだろう。個人ができることは限られている。飲食店や困っている人にどのような支援ができるか、政局をめぐる闘争よりもそこにお金と時間を使ってほしい」(『ABEMAヒルズ』より)

【映像】“ワクチン接種促進”オーストラリア政府のCMに物議
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