関脇、大関で連覇を果たして名古屋に乗り込んできた照ノ富士の綱取りについて、師匠でもある伊勢ケ濱審判部長(元横綱旭富士)は「準ずる成績を出せたら、そういう話も出てくる」とこの1年で3回の優勝、2連覇中という抜群の安定感を高く評価。たとえ大関で連覇を果たせなくても今場所も最後まで賜盃を争う成績であれば、場所後の横綱昇進もあることを示唆していた。
横綱審議委員会では横綱昇進の内規について「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績」と内規で定めている。また、大関昇進については昨今「直前の三役3場所で33勝以上」といったラインが目安として言われているが、協会が定めた規定ではない。
綱取りや大関取りにおいては数字などの明確な基準が存在しないことから、この「目安」についてこれまでにも賛否両論が巻き起こることが少なくなかった。
今場所は十二日目まで照ノ富士が無敗だったことで残り3日間を全敗しても優勝に準ずる成績が確定したことから、照ノ富士の横綱昇進を確実視する報道が一部で見受けられたが白鵬が全勝優勝した場合、星の差は3つとなり、これを「準ずる成績」と位置づけるのはさすがに違和感を抱くファンも少なくなかったであろう。
直近では、稀勢の里が2016年九州場所で12勝をマークし、14勝で優勝した横綱鶴竜とは2差の優勝次点。翌初場所で14勝というハイレベルの優勝を成し遂げ、場所後、横綱に推挙された例があるが、昭和以降、直近場所で3差による“準優勝”で横綱に昇進した例はさすがにない。
照ノ富士はその後も白星を伸ばし、これで千秋楽まで賜盃を争うことが確定した。伊勢ケ濱審判部長も「今の時点で(優勝)次点は決まっている。優勝するに越したことはないが、成績的には十分満たしている」という見解を示した。
たとえ、綱取りや大関取りの場所で一定の成績をクリアしたとしても、昇進後に看板力士としてふさわしい結果を残せるとは限らない。“目安”が存在するのは数字では決して計ることのできない強さを、審判部をはじめ、かつて土俵に上がったことのあるプロの確かな目で判断する必要があるからだと考えられる。
もっとも綱を目前にしている今の照ノ富士の強さに異論をはさむ余地はない。あとは昇進に花を添えるかどうかだけであろう。
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