「倒れそうで倒れない」不屈の精神のネパール人K-1ファイターの心を折る“奥足ロー地獄”。あまりにも執拗かつ無慈悲な蹴りに視聴者からも「タオルを投げろ」「止めて」と悲痛なコメントが並んだ。
7月17日に福岡国際センターで開催された「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN ~K-1ライト級タイトルマッチ~」。アビラル・ヒマラヤン・チーター(志村道場)と和島大海(月心会チーム侍)の対戦は、序盤から和島がアビラルの非情なローキック攻撃で3ラウンドKO勝ちを収めた。昨年、木村“フィリップ”ミノルを追い込み大ブレイクしたアビラルの足を非情な奥足攻撃で破壊した。
昨年末、難攻不落のK-1スーパー・ウェルター級王者・木村“フィリップ”ミノルからダウンを奪い話題をさらったアビラル。壮絶な打撃戦の末に試合には敗れたものの一躍期待のホープとしてブレイクした。一方、和島も現在2連勝中、ともに一度は敗れている王者・木村とのリベンジマッチの挑戦権をかけての戦いとなる。
1ラウンド、強いプレッシャーをかけるアビラル。相手の鋭いハイキックに怯まず前に出て打ち下ろすストレート連打で、開始20秒で和島からダウンを奪う。さらに畳み掛けるアビラルに不運が…。和島のインローぎみのローが下腹部を捉え試合が止まる。試合再開後も前に出るアビラルに、和島も強い左ローの連打で対抗し、怒涛の攻撃の嵐を食い止める。2発、3発と奥足へローを叩き込むと、これを嫌ったアビラルの足も止まりはじめる。
和島は奥足をピンポイントで蹴り続け、館内には「バシッ、バシッ」と鈍い音。ABEMAの視聴者からも「ローがえぐいな」「効いてる効いてる」「ほとんど被弾している」の声。アビラルもパンチで対抗しようとするがダメージが大きく、足が流れる場面が多く目立つ。
2ラウンド、和島の“奥足ロー地獄”は続く。アビラルも足を使いスーパーマンパンチを放ち流れを変えたいところだが、和島の一貫した蹴りに棒立ち状態。余裕が出てきた和島がミドルやパンチと多彩な攻撃、さらに後退するアビラルに和島の奥足蹴りがローブローとなる悪循環。
再開後、容赦ない和島のローに力を振り絞り反撃に出るアビラルの折れない心に「戦意喪失はしていないな」「アビラルはなんで倒れないんだ」とファン。一方では「右足がもうダメだ…」「もう止めてもいいのでは」など心配の声が交錯する。
3ラウンド、和島は左ロー蹴りに集中。開始1分、再び強烈な奥足への蹴りを貰うとついにアビラルがリングに両足をつけダウン。ローブローをアピールするが明らかにダメージの蓄積によるダウンだ。
ここからは一方的な和島のペース。ローにミドル、さらに動きが止まった相手をコーナーに串刺しにしてパンチの連打。さらに非情な左ローを連打、ムチのようにしなるロー地獄に「タオル投げて」「止めてあげて」と悲痛な声があがる。
最後はダメージで右足があがったままのアビラルの軸足をローで崩して、下ろした右足に無慈悲な左ロー。ついに不屈のヒマラヤン・チーターが大の字の倒れ天を仰いだ。残酷すぎる集中攻撃に、解説席を務めた魔裟斗も「強い心が折れた」と絶句。
勝利した和島は、12月の大阪大会での木村への再挑戦をアピール。一方、衝撃的な敗戦を喫したアビラルは「自分が弱かった、こんなにローをもらって…蹴りに負けちゃいましたね」と試合を振り返りながら「最初にダウンを取って、ローブローをもらって、そこからちょっと試合が変わっちゃって…」と優勢だった流れをキープできなかったことを悔やみつつも「ゼロから新しい自分を作って戻ってきたい」と再起を誓っていた。