「今年は選挙があるから、国民感情に乗らざるを得なかった」オリンピックの“無観客開催”の理由について夏野剛氏
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 開会式に先立ち一部の競技がスタートした東京オリンピック。一方、組織委員会は大会関係者8人の感染が確認されたと発表。うち1人は女子テコンドーのチリ代表で、隔離となるため大会への出場ができなくなった。また、国会では“15分間外出OK”のルールの存在など、選手・関係者の感染対策の“穴”を巡って議論が紛糾した。

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 ニューヨークを拠点に活動しているジャーナリスト・作家の安部かすみ氏は「春頃からオリンピックに関する報道が過熱していたが、特にこの2、3週間は東京都が緊急事態宣言下にあり感染者数が増えていることなど、マイナスな話が増えてきている。アメリカではMLBのオールスター戦の観客席が満員で、しかもマスクもしてない。私が住むニューヨークでも、それが普通になりつつある。日本はワクチン接種率が低いこともあって無観客にせざるを得ないのだろうが、アメリカ人の多くは驚いていると思う」と話す。

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 また、ニューヨーク・タイムズなど、およそ10の大手メディアが東京での“行動制限”に対し抗議したことも話題だ。安部氏も「“GPSアプリで居場所を監視されている、報道の自由を脅かしている”という抗議を送った。市民にも取材ができない。私も取材をしている立場なので、気持ちはとてもわかる」とコメントした。

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 こうした状況について元経産官僚の宇佐美典也氏は「アメリカに比べればワクチン接種率は低いが、それでも世界的に見れば打たれている方だ。新規感染者数を見ても、アメリカの方が日本よりも多い。それでもなぜオリンピックに観客を入れないのかといえば、やっぱり子どもの運動会とか発表会とかは無観客で行われてるのに、なんでオリンピックはOKなの?という不公平感がどうしても出てしまうからだと思う。オリンピックだけ“特別扱い”していると見られれば、国民の不満が溜まってしまうからしょうがない」、アーティストの市原えつこ氏は「日本よりも新規感染者数が多いのに“正常モード”という国もあるし、国民性によってこんなにも温度感が違うんだなと感じる。プレーブックを拝見すると、予想以上に厳しく統制してるんだなとも思う」と話した。

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 一方、JOCオフィシャルサポーター企業のKADOKAWA社長で、組織委員会の参与や各種委員会の委員、聖火ランナーも務める夏野剛氏は「これは選挙があるからという理由だけだと思う。宇佐美さんの言った不公平感だが、オリンピックに比べれば、ピアノの発表会なんてどうでもいい。だけど今年は選挙があるから、それを一緒にする国民感情に乗らざるを得ない、国民感情を刺激するのは良くないという、ポリティカルな判断に尽きる。Jリーグだってプロ野球だって観客を入れてるのにオリンピックを無観客にしなければいけなかったのは、やっぱりそういう煽りがある。アメリカは全然安全ではないし、イギリスだって感染者も増えている。それでも7万人入れたり2万人入れたりしている。そのうち誰かが金メダルとったら雰囲気が変わるだろう」と主張。

 さらに「コロナ関係なく、リオだって直前まで“間に合うわけがない”という報道をしていたし、メチャメチャだった。それでも始まったらみんな熱狂だ。スポーツイベントはそんなものだ。ただ来年の2月頃になってもワクチンを打たない人は必ずいるので、感染者数は多くなると思う。そのときに(冬季オリンピックのある)中国は日本どころじゃない監視をするだろう。そこにアメリカの報道が同じようなクレームが出せるのか見ものだ」とも語った。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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