将棋の藤井聡太王位・棋聖(19)が7月25日、叡王戦五番勝負第1局で豊島将之叡王(竜王、31)に95手で勝利、最年少での三冠獲得に向けて開幕局を制した。角換わりから始まった一局は中盤まで全く互角で進んだが、終盤に入ったところで均衡が崩れ、一気に藤井王位・棋聖のペースに。チャンスを逃さず勝ち切った。プロ入りから6連敗を喫するなど“天敵”となっていた豊島叡王に対して直近では3連勝。苦手克服を印象づける快勝となった。
【中継】叡王戦 五番勝負 第一局 豊島将之叡王 対 藤井聡太王位・棋聖
もう“天敵”“苦手”という表現は、次局から出てこないかもしれない。お~いお茶杯王位戦七番勝負と叡王戦七番勝負。2つのタイトル戦を並行して戦うダブルタイトル戦の中で、プロ入り直後からは明確に差をつけられていた先輩棋士を、本局でも打ち負かした。21・22日の王位戦七番勝負第3局で指したばかりの角換わりを選んだ藤井王位・棋聖だが、本局は早々に前例を離れる力勝負に。タイトル戦の中では短い持ち時間4時間(ストップウォッチ採用)の中で、勝負どころでは恐れることなく長考を入れて、難解な中盤を指し進めた。勝利への道筋がはっきり見えたのは終盤に入ってから。相手に大駒は渡しつつ、交換で手に入れた金駒が攻守に効果を発揮。残り少なくなっていた持ち時間の中でも、確実に勝ちへと結びつけた。
対局後、藤井王位・棋聖は「早い段階で飛車角交換になって判断が難しかったんですが、こちらが打った角が働く前に急な展開になってしまって、そのあたりは自信がなかったです。こちらの形が整う前に戦いになってしまったので。飛車を取れたあたり、攻めていける形になったかなと思いました」と対局を振り返ると、今後については「第2局、第3局と続けてあるので、しっかり状態を整えて臨みたいです」と、さらに気持ちを引き締めていた。
プロ入りから豊島叡王に6連敗を喫したが、直近5局では4勝1敗、さらには3連勝とし、通算でも4勝7敗まで先輩に追いついた。この後も8月3日、9日に叡王戦、8月18・19日に王位戦と「十二番勝負」は続いていくが、この勝負の夏での3連勝は、最年少での三冠達成に向けて、非常に大きな意味を持つ。この暑さが一段落するころ、藤井王位・棋聖は、将棋界においてどんな位置まで上り詰めているだろうか。
(ABEMA/将棋チャンネルより)