米製薬大手ファイザーは28日、3度目のワクチン追加接種によって免疫力が高まり、感染予防に効果的だとするデータを公表した。
【映像】男性高齢者は“追加接種”が必要? コロナワクチン、性別&年齢によって抗体量に差(解説詳細)
世界中で感染が広がっているデルタ株。ファイザーは、3回目の追加接種でデルタ株に対する中和抗体の量が増えたという研究結果を報告。2回接種した後に比べて、中和抗体が最大100倍に増加する想定を明らかにした。追加接種について、来月にも関係機関に緊急使用に向けた承認を申請する見通しだ。
またイスラエルでは、60歳以上の住民に対して「ブースター」と呼ばれる3回目のワクチン接種を8月1日から始めると発表。以前よりデルタ株の感染拡大や、時間経過によるワクチン予防効果の低下が指摘されていて、専門家らが政府にワクチンの追加接種を提言していた。
世界中で接種が進み、徐々にわかってきたワクチンの働き。日本でも、ワクチン接種による抗体量の変化に着目した研究が進められている。ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、藤田医科大学の講師・藤垣英嗣さんを取材した。
研究を始めたきっかけについて、藤垣さんは「ワクチン接種後、1回目と2回目でどのように(抗体量が)変化するのか。日にちを決めて採血して、抗体の変動を見ながら実際のデータを示したいと思ったことが研究を始めたきっかけです」と明かす。
「結果としては、1回目の接種後は個人差があって(抗体量が)上がる人もいたが、ほとんど上がっていない人も数人いた。1回目でほとんど上がっていない人でも、2回目の接種後には上がってくることも確認できた」
藤垣さんら研究グループは、大学の教職員219人を対象にファイザー社製のワクチンを接種する前後に採血を実施。抗体量を測定した。その結果、3つの抗体すべてが1回目の接種後に上昇。2回目の接種後には、免疫をつかさどる上でメインとなる「IgG抗体」が大幅に上昇した。
さらに研究では、年齢や性別における抗体量の違いも調査。藤垣さんによると、男性と比較して女性は抗体量が多く、男性は年齢を重ねているほど抗体量が少なかったという。
「男性と女性で抗体価を平均すると、男性よりも女性は抗体ができやすく、女性の方が有意差をもって高かった。特に男性は年齢差があるようで、高齢者ほど抗体ができにくいこともわかった。女性はそこまで年齢の影響はなかった」
また、研究に参加した対象者には、3カ月後・6カ月後・1年後まで継続して採血を実施。今後、抗体がどのくらい持続するか調査を続けるとした。
「抗体を継続的に調べると『この人は免疫ができていないので、追加接種が必要です』といったことがわかってくる。ワクチン接種後に抗体を調べて、抗体ができていない人に対しては追加で接種を行う。新型コロナのワクチンに、抗体の検査がこれから必要になってくるかもしれない」
今回の研究結果を受け、改めて藤垣さんは「ウイルスに対して防御能力が獲得できる」とワクチン接種の重要性を訴える。
「ワクチンを接種すると、多くの人に副反応が起きる。実際にウイルスに感染しても『軽症で済むだろう』『症状は出ない』と考えている若い人もいるかもしれません。しかし、ウイルスに感染すると、酷い咳といった症状が出る場合もありますし、味覚・嗅覚に後遺症が残る場合もあります。ウイルスに感染して、いろいろな症状が出るよりも、ワクチンを接種して1~2日でおさまる副反応が出ても防御能力を獲得する。そのメリットを考えてほしい」 (『ABEMAヒルズ』より)
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