今年5月、国土交通省が事故物件の告知義務に関するガイドライン案を初めて作成した。ガイドライン案には「老衰などの自然死は告知義務なし」「自殺や殺人があっても告知義務は3年間」などの規定が盛り込まれている。
【映像】リフォームで生まれ変わった“事故物件” 劇的ビフォー&アフター(画像あり)※28分ごろ~
今、事故物件には、どれくらいの需要があるのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、事故物件や特殊物件を買い取りしている「あきんど」の東京支店長・鎌田美智生氏に密着。鎌田さんが「これから事故物件を見に行く」というので、番組スタッフも同行した。
やってきたのは千葉県某所の団地。鎌田氏は「中の状態はあまりいい状態ではなかったが、6月に買わせていただいた」と話す。
「今回お客様のご事情あっての売却なので、床は全部めくってしまって、そのままの状態で私たちが引き受けた。自殺でお亡くなりになってから3年ほど経っていた。おそらく首をくくられて亡くなられたと思う」
鎌田さんの会社では事故物件を買い取り、リフォーム後に再販売。需要は年々増加していると明かす。
「案件ベースでは、1日に3件程度の相談を受ける。私の実感として、この1年で倍になってきている」
事故物件を買い取って欲しいという相談が1日3件、月100件近くに上っている現実。鎌田さんによると、事故物件増加の背景には、高齢化社会における“孤独死”の増加があるという。
そんな日本の課題を打破すべく、株式会社MARKSが運営する事故物件紹介サイト「成仏不動産」では、売り出し中・貸出中の事故物件を掲載。全国各地の事故物件を網羅し、どんな事故が起きたのか、ページには情報がしっかりと書かれている。なぜこのサイトを作ったのだろうか。
MARKSの代表取締役・花原浩二氏は「世の中の大半は事故物件に抵抗を持つ人が多いかもしれない。でも、中には全然気にならない人、もしくは気にならない使い方ができる人もいる。そういう人たちが、事故物件を探したくても探せなかった。『成仏不動産』を作ることで、事故物件を流通させたかった」と話す。
該当の物件で人が亡くなった場合、死因はどれくらい細かく提示されるのだろうか。花原氏は「基本的には死因は、売主様から確認しないと、なかなか分からない。弊社の場合は必ず細かく売主様に聞く。いつ亡くなって、どのような状態で亡くなって、(発見まで)どれくらいの期間がかかったのか、全てを把握する。事故物件を買いたい人、借りたい人には売主様に関わる個人情報に触れない範囲でお知らせします」と語った。
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は、事故物件について「(住居として)僕は全然アリ」と話す。
「前に住んでいた家が築300年だった。だから、その物件で何人も死んでいる。(移住先の)パリは、死んでいない家がほとんどない。事故物件じゃない物件を探すほうが難しいと思う。逆に『パリで300年間誰も死んでいないマンションです』と言われるほうが怖い」
実際、成仏不動産に物件の問い合わせはどのくらい来るのだろうか。花原氏は「だいたい物件を掲載した直後に問い合わせいただくケースが多い」と述べる。また、人が亡くなった事故物件は、死因によって人気の差があり「殺人事件、要は他殺の事件がある物件はなかなか人気が出にくい。孤独死などは平気な人が多くなっている。実際にお客様のお話を聞くと、病死の場合、お風呂も含めて『あまり気にしない』とおっしゃる人が多い」と明かした。
事故物件で告知義務の期間が過ぎた場合、消費者に情報を伝えなくてもいいのだろうか。この質問に花原氏は「賃貸については新しく国交省からガイドライン案が出た。今後は(期間についても)規定が出てくると思う。現状は原則告知が必要だ」と答える。
一方、事故物件を公示しているWebサイトを運営する大島てる氏は、事故物件の事実を隠したいオーナーと裁判で争った経験があるという。長期間、事故物件サイトに情報が無断で掲載され続けるのは、金銭的にもオーナーにとって大きなデメリットになるからだ。
大島氏は「訴えられたが裁判で勝訴した」といい、「ひろゆきさんと違ってちゃんと裁判に出た。裁判所には公益性を認めてもらえた」とコメント。出演者の笑いを誘った。
さらに、ひろゆき氏の「事故物件のオーナーさんから『100万円あげるから情報を消してくれないか』といった連絡は来ないのか」という質問に、「そんなに多くないが、あるかないかで言うとあった。もらってしまうと、商売人として失格だなと思うので、もらっていない」と運営者としての矜持を示した大島氏。ひろゆき氏の「大島てるさんのサイトが200年ぐらい続いたら、どの物件もほぼ人が死んでいるだろう。だから、みんな気にしなくなる時代が来ると思う」といった見解には「それはサイトを運営し続けて確認したい」と明言した。
「この活動を開始したのは2005年(平成17年)で、以降日々起きている物件の事件・事故情報を載せ続けている。戦国時代の情報などは今の時点で載っていないが『何年経ったら情報を消す』といった約束はしない。サイトはこのまま運営し続けていく」 (『ABEMA Prime』より)
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