10日、東京都が確認した新型コロナウイルスの新たな感染者は2612人だった。先週の火曜日から1079人減ったものの、重症の患者は前日から19人増の176人となり、1月20日時点の160人を上回り過去最多を記録。医療機関のひっ迫に伴い、自宅療養者も増加している。
【映像】39度近い熱が5日も…衰弱した自宅療養者 往診の様子(2分ごろ~)
たとえ軽症の場合でも“後遺症”のような症状を訴える人も相次いで報告されている新型コロナ。もし感染した場合、職場復帰はいつ頃が望ましいのだろうか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』にリモート出演した医師で産業医の上原桃子氏は、日本渡航医学会と日本産業衛生学会が共同文書として公表している「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド」の存在に言及する。
【職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(第5版から)】
■ 検査を受けていない人(目安)
・発症後少なくとも8日経過、かつ解熱後少なくとも72時間経過(a)、発熱以外の症状が改善傾向(b)である。
※(a)解熱剤を含む症状を緩和させる薬を服用していない。
※(b)せき、倦怠感、呼吸苦など。
■ 検査で陽性だった人(目安)
・発症後(または診断後)少なくとも10日経過、かつ ・解熱後少なくとも72時間経過(a)、発熱以外の症状が改善傾向(b)である。
※医師から助言を受け、無理のない職場復帰を行う。
症状が収まってから“72時間”の経過がカギになる職場復帰。復帰に当たって「治療証明書」や「陰性証明書」などの提出は会社に必要なのだろうか。
「どちらも必要ありません。職場復帰は、医療従事者(による診断)や、自宅療養の場合も保健所の確認を経て行われます。PCR検査も偽陰性といった事例があることから、証明書は求められません。むしろ、書類の発行が医療機関の負担になってしまいます」(上原桃子氏・以下同)
その上で、上原氏は感染者が出た職場に発生しやすい問題として、下記の事例を紹介。
「感染がわかって十分に休んでも、復職した人が感染源だと思われて孤立したり、飲み歩いたなどの噂を立てられたりといった問題が起こりやすくなっています。また、新型コロナには後遺症の問題も報告されていて、発熱が収まっても咳や熱が続いて復職が困難なケースもあります。1カ月以上の休養が続いて『会社をずる休みしているのではないか』といった指摘も、本人が苦しむ原因になります」
もし従業員が新型コロナに感染した場合、企業側はどのような対応を取るべきなのだろうか。
「まず、日頃から企業側は復職に関するガイドラインを従業員に周知して、休みやすく、復職しやすく、感染してもカミングアウトしやすい職場づくりが大切です。仕事が滞る可能性や重症化する事態を踏まえて、個別にしっかり対応していくことが求められます。先ほど説明したように復職した人が距離を置かれて孤立したり、本人以外にも妊婦や持病がある人の不安の払拭だったり、相談しやすい窓口を設けておくなどの対策が望ましいです。また、感染者が出た場合、フロアの閉鎖や職場を消毒といった内容もガイドラインで提示されていますので、参考にしていただけたらと思います」 (『ABEMAヒルズ』より)
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