労働環境の改善業務はどこへ? 人事院「上級広報戦略官」ポスト新設も冷ややかな目
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 国家公務員の総合職試験における今年度の申込者数が過去最少を記録した。ピークだった1996年に比べ、2020年度は1万9926人半数以下に。

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 一方、2019年度の国家公務員の自己都合退職者数は86人と、6年前の21人より4倍以上増加。さらに、30歳未満の国家公務員の中で「辞める準備をしている」「1年以内に辞めたい」「3年程度のうちに辞めたい」とした人が男性で約15%、女性で約10%といった結果も出ている。

 辞職の意向がある職員はどのような理由で「辞めたい」と思っているのだろうか。若手と中堅の女性職員では「仕事と家庭の両立が難しい」が最も多く、若手男性職員では「もっと自己成長できる魅力的な仕事に就きたい」が最も多く挙げられた。

 こうした国家公務員の志願者減少と離職者増加に歯止めをかけるには、長時間労働の是正、テレワークの積極的活用など、働きやすい勤務環境を整備する必要がある。

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 10日、国家公務員の人事管理を行う人事院の川本裕子総裁は「特に公務員志望者の減少、若手職員の離職増加、社会全体のデジタル化といった状況において人材の確保は喫緊の課題」と発言。これまで情報発信に力を入れてこなかった人事院だが、「上級広報戦略官」という新たなポストを設立し、SNSなどを通じて、国家公務員のやりがいの周知や広報業務を行っていくと明かしている。

 省庁や裁判所、国会など国家機関で国民全体にかかわる業務を行う国家公務員。制度や法律の改正案づくりや、政策案の取りまとめなど、業務内容は多岐にわたる。「上級広報戦略官」の新設について、現職の国家公務員はどのように思っているのだろうか。

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「おそらく国家公務員で今回の上級広報戦略官創設のニュースに好意的な人間はほとんどいないかと思います。働き方改革や、法案作成の5点セットなどの煩雑な手続きの改善が進んでいない中で、謎のポストだけ設けられても、何を期待すればいいのか」(現職の国家公務員からの声)

 また、2012年まで経済産業省に勤務していた元官僚で制度アナリストの宇佐美典也さんも「あまり意味がない」と述べる。

「人事院のホームページを見る機会は、国家公務員試験を受ける前後くらいだ。基本的には各省庁のホームページを見て、各省庁の先輩に話を聞いて、学生は情報を入手する。人事院が広報戦略強化するといったところで、たかが知れているのが現実だ」(宇佐美典也さん・以下同)

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 さらに「やりがいをアピールして離職を防ぐ 」という「上級広報戦略官」の狙いについても批判する。

「そもそも人事院が、他の省庁の職務をちゃんと知っているわけではない。人事院は『霞が関の労働環境を良くしましょう』という省庁。霞が関がブラックな労働環境であることのまさしく責任者だ。その肝心なところをやらずに、イメージでなんとかしようとしている。ちょっとお茶を濁すようなやり方で、現場からもあまり評判が良くない。はっきり言って、あんまり意味がないことだと思う。それよりは、もともと労働環境を良くすることが仕事なのだから、そこをちゃんとやってくださいと思ってしまう」  (『ABEMAヒルズ』より)

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