デルタ株・ラムダ株の“ブレークスルー”感染が話題に…対策は「マスク、3密回避、手を洗うといった基本に加えてワクチン接種だ」
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 田村厚生労働大臣が11日、「感染力はちょっと今までと違っていて、(東京は)もう9割近く入れ替わった、置き換わった」と言及した新型コロナウイルスの「デルタ株」。しかしアメリカは別の変異ウイルスが警戒されている。それが「ラムダ株」だ。

・【映像】変異株、ブレークスルー感染について峰氏に聞く

 南米ペルーが由来とされるラムダ株はチリ、アルゼンチン、エクアドルなどの南米諸国やアメリカ、ヨーロッパなど約30カ国で確認され、日本でも先月20日に羽田空港に到着した30代女性の感染が確認された。厚生労働省は女性の国籍を明らかにしていないが、ペルーでの滞在歴があったという。

■ブレークスルー感染は起きる確率も重症化率も低い

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 ラムダ株について、米国国立研究機関・研究員の峰宗太郎氏は「前提として情報がまだかなり限定的なので、伝播性(人から人へのうつりやすさ)について他の変異ウイルスとの比較ができるほどの情報はまだないというのが正しい。アメリカやイギリスといった、しっかりとした統計が取れる国で流行が始まってはじめて確認できることだが、南米での広がり具合から見て、従来型とよばれるウイルスに比べて(伝播性が)上昇していると考えられる、というのが現状だ」と説明する。

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 「また、重症化に関わる病毒性の上昇についても、まだデータが足りない。しかしこれも南米の状況を見ていると、やはり従来型に比べると入院者数が多いのではないかと推測されているので、重症度が上がることも有り得る、という前提で見ておく必要があると思う。一方、ワクチンなどが効くかどうかについては東京大学医科学研究所の佐藤佳先生のラボや、私が日本にいたときの元同僚であるニューヨーク大学の多田卓哉先生のラボなどから報告が出てきていて、少しずつ解明されてきてはいる。

 やはり情報が出てくる場所によって、かなり違いがある。例えば、アルファ型が流行したイギリスは研究が非常に盛んなので、正確な情報が素早く、かなり出てきた。一方、アメリカや日本ではまだまだ体制がイギリスより弱く、情報が出てくるのはもっと遅くなる。その意味では、発展途上国、開発途上国ではさらに遅くなるし、正確性にも疑問符がつくことになる。そうしたことも踏まえ、できるだけ早く正確な情報を出せるよう、特に国際機関であるWHOなどは注意をしていると思われる」。

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 デルタ株などの変異株をめぐっては、メディア上でワクチン接種後の感染を指す「ブレークスルー感染」という言葉を目にすることも増えている。

 峰氏は「デルタ株、ラムダ株ともにブレークスルー感染をした方がいることはわかっているが、それが起きるのは“スーパー・スプレッダー”といわれる、かなりの量のウイルスを排出している方などから大量のウイルスを浴びた場合だということもわかっている。

 加えて、実際にブレークスルー感染が起きる確率は従来型も含め1%未満と、非常に低いということもわかっている。数十万人と聞くと大きく見えるが、10億人がワクチンを打っている中の割合としては少ないというのが前提だ。ワクチンを打っていれば変異ウイルスであってもそうでないウイルスであっても重症化度は確実に下がるし、副反応に耐えていただいただけの高い価値があると認識していただいていい」と説明した。

■マスク、3密回避、手を洗うといった基本に加えてワクチン接種を

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 終わりの見えない新型コロナウイルスとの戦い。一体いつ終わるのか、との問いに峰氏は「本当に難しい質問だ」としながらも、次のような見方を示した。

 「感染した場合の治療法の改善は進んでいるし、治療薬の探索や開発もどんどん進んでいる。しかし感染症の場合、“予防に勝る治療なし”という言葉があるように、やはりかからないことだ。ここが一番重要な最初のゲートであってポイントであり、上流であることを認識していただくのが大事だ。

 世界的なパンデミックだということを考えれば、今後も外国から変異ウイルスが入ってくる可能性は大いにあるし、東南アジアやアフリカなどで流行が拡大する可能性も見えている。また、変異ウイルスというのは流行が続いている限りどんどん出てくる。そして元のウイルスからどんどん形が変わるので、従来の設計のワクチンが効かなくなる変異がどこかで生じる可能性はゼロではない。

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 それでもワクチンの設計を変更することで対応できるといわれているし、過剰には怖がらなくていいのではないか。流行が抑えられれば変異の出方も落ち着くので、今はとにかく早くワクチンを打ち、その他の予防法と併せて流行を抑えることが何より重要だ。先進国などではワクチン接種率がどんどん上がってくれば、“間接的効果”が出てくる。ブレークスルー感染が起きても重症化しにくくなるし、医療ひっ迫の度合いなども変わってくるだろう。

 個人のレベルにおいては、しっかりマスクを着ける、3密の回避、手を洗う、といった感染予防をしていただくことには変わりない。そしてワクチンだ。今のところはそれしかないが、今後もそれ以上の予防策は出てこないと思う。その意味では、接種率が十分に上がってくれば、空気は大きく変わってくると思う。一番明るい見通しを言えば、日本において第5波をしっかり抑えられれば、今年中に制御が楽になってくるとこともあると思うし、マスクなども少し緩められるのではないか」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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