千葉県柏市で17日、新型コロナウイルスに感染した30代の女性が、自宅で早産し、新生児が死亡していたことがわかった。
【映像】「入院先を見つけられず…」コロナ感染の妊婦、早産で新生児が死亡
柏市によると、女性は妊娠8カ月(29週)で、今月11日に新型コロナ陽性と判明。発熱や呼吸苦があり、自宅療養中だった。15日から入院先を探していたが、入院先が見つからないまま、2日が経過。18日午前9時頃に女性が「前日から腹部のはりがある」と保健所に相談。入院先を探すも見つからないまま午後になり、女性は「出血がある。陣痛ではないか」と訴え。この時点でも入院先を見つけられず、女性は自宅で出産。午後5時36分に救急車が到着したが、赤ちゃんは心肺停止の状態で、6時すぎに病院で死亡が確認された。
新型コロナに感染した妊婦をどのように受け入れるか、体制整備の不十分さが浮き彫りになった今回の問題に、ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した産婦人科医で公衆衛生学修士の重見大介医師は「新型コロナに感染した妊婦は重症化しやすく、早産になりやすい」と指摘する。
「もともと妊娠中は子宮がどんどん大きくなっていくので、肺の下にある横隔膜をとても圧迫していくようになります。これによって呼吸器系の病気になった場合、重症化しやすくなります。新型コロナだけでなく、インフルエンザも同様です」(重見大介医師・以下同)
さまざまなリスクがある妊婦の感染。妊婦を新型コロナに感染させないために、どのような行動を心がけるべきなのだろうか。
「まず、家庭内感染を防ぐことが重要です。コロナ禍で妊婦が感染する場合、夫をはじめとしたパートナーからの感染が約8割を占めます。家族のワクチン接種の徹底、飲み会など感染の機会になってしまうイベントは断る、ウレタンマスクよりも飛沫の遮断精度が高い不織布マスクをするといった心がけが大切です」
また、重見医師は妊婦自身のワクチン接種について「できるだけ多くの妊婦がワクチンを打ってほしい」とコメント。
「アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が2500人の妊婦を分析したところ、コロナワクチンを打っていても、打っていなくても、流産リスクの確率は変わりませんでした。ワクチンは、妊娠中どの時期に接種しても問題ありません。できれば20週頃までに1回目の接種を、それから6週間以内に2回目の接種をしてほしい」
また、妊娠中や授乳期のワクチン接種を巡っては、今月11日にCDCが新たな見解を発表。妊娠期間中におけるワクチン接種を推奨するだけでなく、妊娠中や授乳期の接種が、新生児のコロナ感染防止に役立つ可能性があるとした。
授乳期に母親がワクチン接種をすることで、母乳を通じて新生児にワクチンの効果を与えることはできるのだろうか。
「これはすでにいくつか研究結果が出ていて、ワクチンを打った母親の母乳を採取したところ、母乳に抗体が見つかりました。よって、母乳を通じて赤ちゃんが新型コロナの抗体を得られる可能性はあります。一方で、母親が新型コロナに感染しても母乳を通じたウイルス感染は低い結果が出ています。これはインフルエンザでも同様で、母乳を通じて感染する事例は非常に稀だと分かっています」
気になるのは、ワクチン接種による“副反応”だ。高熱などの副反応が流産の可能性を高めることはあるのだろうか。
「何日間も高熱が続いた場合、わずかに流産の確率が上がるのではないかといった話も出ているが、これは長期間、高熱が続いた場合の話だ。アセトアミノフェン系の薬で熱をしっかり下げて、1日~2日程度の熱であれば大きな影響はないでしょう」
その上で、重見医師は「妊婦だけが注意していても守りきれないことがある」と言及。「妊婦さんと同居している家族の方は一番感染に気をつけてもらいたいですし、私たちが普段、外に出るときも、自分のすぐ近くにいる人が『もしかしたらこの人の家族に妊婦さんがいるんじゃないか?』と、ぜひそういうことを考えてもらいたい」と訴えた。 (『ABEMAヒルズ』より)
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