将棋の叡王戦五番勝負第4局が8月22日に行われ、豊島将之叡王(竜王、31)が藤井聡太王位・棋聖(19)に91手で勝利した。シリーズ1勝2敗とカド番に追い詰められていた状況で、先手番から相掛かりの研究手でリードを奪うと中盤、終盤と向かうにつれて、さらにその差を広げる快勝。同郷の後輩棋士に対して意地を見せる格好で、決着を最終第5局に持ち込んだ。
【中継】第6期 叡王戦 五番勝負 第四局 豊島将之叡王 対 藤井聡太王位・棋聖
藤井王位・棋聖に対して「天敵」と呼ばれていた時の強さが、ここ一番で戻ってきた。お~いお茶杯王位戦七番勝負でも並行して戦っていることから「ダブルタイトル戦」「十二番勝負」とも言われている中、前日までの7局では2勝5敗と負け越し、どちらのタイトル戦でも王手をかけられていた。それでも「序盤は考えていた形の一つ」という相掛かりの研究手で早々にリードを奪うと「中盤は難しかったと思うんですけど、駒得する展開になったので、少し指せそうな気がしていました」と有利、優勢を自覚しながらの戦いに。終盤こそ相手の勝負手に悩むシーンも見られたが、落ち着いた戦いぶりでそのまま勝ち切り、藤井王位・棋聖に「本局は完敗だった」と言わしめた。
豊島叡王にとって、この叡王のタイトルは思い出深いもの。昨期は七番勝負だったが、永瀬拓矢王座(28)との戦いは持将棋2局、千日手1局で、第9局(都合10局)という史上最長の番勝負に。長き戦いの末に手にしただけに、例え相手が勢いの止まらない天才棋士だとしても、そう簡単に渡すわけにもいかなかった。
第5局は9月13日。「なんとか追いついたという感じで、次は最終局なので、悔いがないように指せたらと思います」と抱負を語ったが、両者の戦いとしては、わずか中1日置いて24、25日に王位戦七番勝負第5局でも戦う。ここでも1勝3敗とカド番だけに、この日の快勝を、もう一つのタイトル戦にもつなげたい。竜王戦七番勝負でもぶつかる可能性があるこの2人。熱い戦いは、まだまだ続く。
(ABEMA/将棋チャンネルより)