「往診してみたら家族全員が感染」「今日中の入院は無理と宣告」「酸素濃縮器がない」…在宅医療を担う医師が語る、“自宅療養”の過酷な現状

 4000人を超える新規感染者が積み上がっていく東京。医療提供体制の逼迫とあいまって、自宅療養を余儀なくされる人も日を追うごとに増加している。

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 「本当に入院できない。顔が真っ青で、ゼエゼエ息をしているというような人は救急車で運ばないといけないが、昨日も入院調整が上手く行かなかった」。そう話すのは、首都圏を中心に在宅医療を行うクリニックを展開している医療法人社団「悠翔会」理事長で、診療部長も務める佐々木淳医師だ。悠翔会ではこの1週間で約100件の対応を行った。うち85%が入院すべき患者だったというが、24時間以内に入院できたのは3人のみだったという。

「往診してみたら家族全員が感染」「今日中の入院は無理と宣告」「酸素濃縮器がない」…在宅医療を担う医師が語る、“自宅療養”の過酷な現状

 「私たちは都内に8カ所の診療所があるが、20人のドクターが日頃の在宅医療、訪問診療の合間にコロナの患者さんへの往診も始めた。しかし依頼の件数が多く両立が難しくなってきたので、今週からは2人のドクターに、朝から晩までコロナの患者さんだけを診る“往診専門ルート”に従事してもらっている。とりあえずは自宅で酸素の吸入をしてもらい、入院調整を進めていただくが、その日のうちに決まる人ばかりではない。政府による当初の説明では、中等症以上、あるいは軽症でもハイリスクの人は入院できるというのが前提だった。しかし現状では中等症II、つまり酸素が必要な人でも入院できていない人がたくさんいらっしゃるのが現実だ。

「往診してみたら家族全員が感染」「今日中の入院は無理と宣告」「酸素濃縮器がない」…在宅医療を担う医師が語る、“自宅療養”の過酷な現状

 もともと慢性疾患の方で酸素を吸っていれば自宅でも生活ができるというレベルの人もいるし、酸素を吸いながらの治療で良くなっていく人もいるが、健康だった人でもどこまで急激に酸素が低下するかわからないし、在宅用の機械で供給できる酸素量では足りず、結局は病院に行かなければいけないという人も一定の割合で出てきている。保健所の方も病院を懸命に探してくださるが、今日中には無理だと言われる方もいらっしゃる。本当に苦しくて救急車を呼んだ患者さんが、3時間、4時間、5時間、病院を探したけれど結局見つからないということで、救急車から在宅医療の“逆紹介”みたいな場合もある。苦しい状態で何日間も放置するわけにもいかないが、酸素を吸いながら一晩二晩と過ごしていただくということになっている」。

「往診してみたら家族全員が感染」「今日中の入院は無理と宣告」「酸素濃縮器がない」…在宅医療を担う医師が語る、“自宅療養”の過酷な現状

 一方、家庭内感染が広がる中、自宅療養者はどのように過ごしているのだろうか。

 「基本的には家から外に出ることはできず、病院にかかりたいと思っても行けないし、救急車を呼んでも運んでくれない。だから家に医者が来るか、オンラインなどで診療が受けられない限り、医療は届かない。さらに往診に行ってみると、医療以前に食べ物もちゃんと食べられていない、飲み物もちゃんと飲めていないという方も結構いるし、生活全般にケアが必要だと感じている。また、家庭内感染を防ぐことも重要だ。第1波、第2波の頃は感染者を隔離し、誰か1人が部屋に入って…ということでやっていたと思うが、デルタ株になって以降、私たちの印象としては家族で1人でも感染者が出たら、残りの家族は感染している。症状の出る2、3日前から感染力があるので、例えば息子さんが突然発熱し具合が悪くなったのでPCR検査をしたら陽性だったという場合、お父さん、お母さんはすでに感染している可能性が高い。実際、往診に行ってみると、家族みんな感染しているということもある。病院や介護施設でも対策は難しいわけで、家庭では現実的には不可能だろう。大切なことは、家庭の中に感染を持ち込まないということ。自分が感染するということは家族丸ごと感染するんだということを理解しておいていただきたい」。

「往診してみたら家族全員が感染」「今日中の入院は無理と宣告」「酸素濃縮器がない」…在宅医療を担う医師が語る、“自宅療養”の過酷な現状

 その上で佐々木氏は「今週やってみて分かったことだが、一日中往診をしても、対応できるのはせいぜい10人程度だ。しかし入院待機者は山のようにいる。特に一人暮らしの人は誰も見守ってくれる人がいない。我々も診察に行った患者さんには電話をするし、保健所から日に何回か安否確認の電話が来るが、本人が電話でSOSを出せずに亡くなってから見つかる可能性は十分にあると思う。そして酸素だ。東京都からも何台か酸素濃縮器をお借りしているが、もう手元にはない。だから入院が決まった患者さんの家の前に行って待機し、その人が使っていたものを消毒し、すぐ隣の患者さんに持って行くというということをやって、なんとか回しているのが実態だ。この調子で感染者が増え続ければ、他の都道府県から酸素濃縮器をかき集めない限り、東京は酸素が不足することになる。酸素ステーションを作っているが、そちらに酸素濃縮器を持っていかれてしまうと、在宅で使えるものがなくなるので、問題の解決にはならない。酸素が足りなくて困っている人たちが避難できる“医療避難所”みたいなものを作っていかなければいけないと思う」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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