若年層が予約なしで新型コロナワクチンを接種できるように開設した東京・渋谷の接種会場が27日から稼働した。2日目の28日には先着順から急遽抽選方式に変更したものの、隣の原宿駅まで列が続くなど大混乱となった。
東京都若者ワクチン接種センターでは、9時から10時半の間に現地で抽選券が配布される。抽選結果は11時半ごろにLINEやTwitterで発表されるが、接種時間は指定され選ぶことはできない。
人流抑制を呼びかけながら、現地で抽選券を配って人を集めるような手法について、BuzzFeed Japan News副編集長の神庭亮介氏は「まったく意味がわからない。ネットで抽選から予約までぜんぶ完結できるはずだ。予約なしでふらっと来られるという触れ込みで始まっているので、そこを崩したくないがために“やってる感”を演出しているのでは。画作りのために並ばせられているとしたら非合理的だし、暑い中並ばされたうえに当たらなかった人がかわいそうだ」と苦言を呈する。
また、「若者はワクチンに消極的に決まっている」という誤解に引きずられ、予約者数の目算を誤ったのではないかとも推察する。
「東京都のモニタリング会議で紹介されたアンケート結果でも、2割弱の若者が『接種しない』と回答したことは確かだ。しかし私は、この2割弱という数字はむしろかなり少ないと考えている。逆に接種経験のある人や接種希望者は、合わせて60~75%と非常に高い。本来なら『多くの若者が打ちたがっている』と考えるべきだったのに、2割の方を過大評価して『そんなに予約は来ないだろう』と甘く見てしまったのだろう。そもそものデータの捉え方が間違っていたのではないか」
東京都は補正予算で接種促進キャンペーン事業に10億円を用意し、そのうち「接種をためらう若者に接種を促すPR費用」として7.5億円を計上している。小池都知事は「若い方々の接種意欲は高いことを示していると受け止めている」と話しているが、神庭氏は今回の一件でそれが可視化されたと指摘する。
「10億円が高いか安いかという問題はあるが、ワクチン接種を迷っている人が一定数いるのは事実なので、接種促進キャンペーン自体がまったくの無駄だとは思わない。YouTubeやTikTok、Instagramといった、若者が日常的に接触しているサービスを活用するなど、生きたお金の使い方をしてほしい。
若年層が感染を広げている、ワクチンを打ちたがらないのは問題だと、若者は何かにつけて叩かれてきた。渋谷の大行列で唯一よかったことがあるとすれば、『ワクチンを打ちたくても打てない若者が大勢いる』というシンプルな事実が可視化されたこと。今後、ワクチン関連の施策を進める際には、まずその大前提から出発する必要がある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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