NPO法人「全国不登校新聞社」が先月、保護者や教職員らに向けて緊急アピールを発表した。「夏休み明けにかつてない危機が子どもたちを襲う」として「子どもの『学校に行きたくない』という声に耳を傾けてほしい」と訴えている。
【映像】子どもが「死にたい」「学校に行きたくない」と訴えたら? 『TALKの原則』(5分ごろ~)
去年の小中高生の自殺件数は499件と過去最多を更新。今年6月までの件数も過去最多のペースになっている。今回の緊急アピールについて、ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、不登校新聞の石井志昴編集長を取材した。
「9月1日は新学期明けが重なる時期。この時期、毎年のことですが、子どもの自殺が多くなってしまうと捉えています。1つは『学校に行きたくない』といった子供からの訴えは、命に係わるSOSです。(2つ目は)そのSOSが出た場合、大人は軽視をせずに受け止めてほしい。3つ目は自殺対策にも原則がありますので、原則に従って子どもたちのケアをしてほしい。この3つを(緊急アピールで)発表しました」(石井編集長・以下同)
「不登校新聞」は1998年に創刊。日本で唯一の不登校専門紙として長年に渡り、不登校に悩む子どもたちや親たちに寄り添い、その実情を伝え続けてきた。自身も長い不登校生活を経験した石井編集長は、取材をする中で、終わりが見えないコロナ禍で「ストレスを抱える子どもが増えている」と分析する。
「コロナ禍の影響で、子供の心はボディーブローのようにストレスが溜まっている状態。自分のストレスが溜まっていなくても、ストレスが溜まっている他の子が集団で“はけ口”にして、いじめを受けてしまう子がいる。大人からなかなか見えない苦しさを抱えている子どもたちがいて、それが一気に噴き出してしまうのが9月1日だ」
■「学校に行っても行かなくても、人生は続く」不登校新聞編集長がメッセージ
石井さんは保護者や教職員ら、大人たちに向けて「子どものSOSを見逃さないでほしい」と訴える。
「取材を重ねていくと、本当に不登校で“死の淵”まで追いつめられる子どもがいます。子どもが泣いて『学校に行きたくない』と訴えても、なんとか親や教師が(学校に)行かせようとして、子どもを追い詰めてしまう。『学校に行きたくない』といった声は命にかかわるSOSです。まずは『わかった』といって休ませてほしい。最初の『わかった』がとても大事で、最初に『なんで』や『どうして』『もう少し頑張れないの』といった声をかけてしまうと、子どもとしては『気持ちを否定された』と思ってしまう。親としては励ましているつもり、原因究明をしているつもりかもしれませんが、親の思いとは逆、子どもを追い詰めてしまうことを覚えておいてほしい」
そして、石井編集長は、いま悩みを抱える子どもたちに自身の経験を踏まえて「どうか無理をしないでほしい」と話す。
「学校って手段でしかない。人が幸せに生きていくために、どのように知識を手に入れるか、その手法の1つ。学校ではたくさんいろいろなことが学べますが『学校に行かなきゃ人間になれない』『幸せになれない』といったことはありません。私自身、学校を休んだときに『人生が終わってしまった』と思っていましたが、学校に行っても行かなくても、人生は続くんです。大変なことも苦しいこともありましたが、楽しいこともあります。それでどうなるかというと、みんな普通のおじさん・おばさんになる。あまり特別なことじゃない。普通の人生が待っているので、どうか安心して、こちら側に来てほしいなと思います。どんなあなたでもきっと幸せになれる。今日、明日、学校がつらかったら休んで大人になって」 (『ABEMAヒルズ』より)
【相談窓口】
◆「日本いのちの電話」ナビダイヤル ※午前10時~午後10時
0570(783)556
◆「24時間子供SOSダイヤル」※年中無休、24時間
0120-0-78310
◆チャイルドライン ※午後4~9時(対象は18歳まで)
0120-99-7777
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