9月1日は『防災の日』。自然災害に対する備えや対策を強化し、防災意識を高める目的で1960年に制定された。
この日は、関東大震災が発生した日(1923年)でもあり、台風が多くなる時期の始まりでもある。Twitterでも『防災の日』がトレンド入りするなど、自然災害の多い日本で防災への関心の高さがわかる。
例年相次ぐ、九州などへの豪雨災害や大型の台風。地方だけではなく、2019年10月に起こった台風19号では、東京・世田谷区などを流れる多摩川が二子玉川駅の周辺で氾濫した。都市部で水害が起きたときの危険性について、水難学会の斎藤秀俊会長は「リスクが高い」と話す。
「一番の問題点は人口密集地だということ。かなり広範囲にわたって洪水が起こるということになれば、この人たちが『どこにどういう手段で逃げたらいいのか』というような問題まで考えなければならない。地方を考えたときと都内を考えたときだと、影響を受ける人の数があまりにも違うということで、特に大都会の洪水というのはかなり危険視されている」(斎藤秀俊会長・以下同)
実際に東京北部から埼玉にかけた地域では、水はけが悪い地形のため、何度も水害に襲われてきた。そこで作られたのが、世界最大級の地下放水路『首都圏外郭放水路』。大幅に洪水の被害を軽減できるとしているが、斎藤会長は「まだまだ予断を許さない」と言う。
「荒川や隅田川など、上流の方で雨が降ったときに、それを直に東京湾に注ぎ込まないといけない。このあたりが海のレベルから見て低い土地になっているので、そうするとこういうところは沈み始めたら、あっという間に洪水が起こってしまう」
では、もし水害が起こりそうになったら何をすればいいのだろうか。まず考えられるのが避難所などへの避難。斎藤会長は、衣類や必需品を用意するときに“命を守るポイント”があると話す。
「あらかじめ少し大きめなゴミ袋の中に衣類を詰めて、リュックサックに入れる。これは避難途中で雨に濡れ、使いものにならなくなったということを防ぐばかリではなく、いざというときの浮き具になるので、避難途中に溺れそうだと思ったらリュックの浮き具でしっかりと浮力を使って救助を待つということもできる」
これは避難途中に、もしものことがあってもリュックなどを浮き具にして命を救うことができるという。
「おなかの上にリュックサック、ペットボトル、浮くものなんでもいいので、浮きになるということをやって頂くとどんな方でも浮くことができる。例えば、完全に沈んじゃう場合と、何とか胸くらいまで出たという場合と色々ある。胸くらいまで出て、すぐに沈まないのであれば、そこから移動しないで救助を待つと。また、背浮きっていう浮き方もあって、その状態で救助を待つ」
とはいえ、安全に避難を済ませるのがベストだ。まずは、道路が冠水していたら避難をやめ、今いる建物の高い場所で安全を確保する。もし、避難中に冠水が始まった場合は気を付けるポイントが2つあるという。
「水面からではわからない穴が道路にはあちこちあいている。あるいは、穴でなくてもちょっとした段差があると、一気に体が沈みこんだり、本当なら溺れないような深さなのに溺れてしまうということが起きる。そういった“トラップ”に注意することがひとつ。ふたつ目が流れ。大体、秒速1メートル位の流れになると、人間は立っていられなくなる。秒速1メートル位の流れの中で、深さが膝上になってくると、本当に歩くどころかその場に立っていることも困難。我々としては膝下まで。どうしても歩かなければいけないのであれば、膝下までの水深、膝上から腰は黄色信号、腰から上は赤信号としている」
また、我々の生活に身近なのが地下鉄。駅や地下街にいたときは、とにかく地上に出ることを最優先にしなければならない。
「地下街で水の浸水が始まったら、いずれも電気が消えますし、暗闇の中での避難というのは不可能なわけなんですね。どんどん水位が上がっていったならば、これはいつか溺れるということを覚悟しなければいけない」
きょう今からできる“水害への防災”について、斎藤会長が2つのことを教えてくれた。
「ひとつは、自分の住んでいる所のハザードマップを確認しておくということですね。近くの川が溢れたら、自分の所はどれくらいの水位になるかということを把握しないといけない。ふたつ目に、避難所はどこにするかということ。避難所に行くにしても冠水してるとこをわざわざ通ってたら大変なことになるので、自分の家よりも高いとこを通って、避難所は更に高いとこにあるという、そういうルートと目的地をしっかりと決めること」
こうした水害で命を守るためには“知っておくこと”が重要だと話す斎藤会長。『防災の日』を機に、災害に対する知識を身につけ、防災アイテムのチェックを行ってみるのもいいかもしれない。(『ABEMAヒルズ』より)
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