「密室子育て」心身ともにすり減ったシングルマザーの願い「親の心が救われるサービスを」
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 各地で新学期を迎える中、今年はコロナ禍の影響で夏休みの延長や時短措置をとる学校もあった。行動を制限されストレスを感じている子供たちの一方で、その子供と長く過ごすことによる悩みを抱えている親もいる。

【映像】「親の支援が重要」密室子育てに奮闘するゴリラママさんの願い(5分50秒ごろ~)

 今回取材に応じてくれたのは、シングルマザーとして小学5年生の息子を育てる「ゴリラママ」さん。この夏議論となった“夏休みの延長”を注視していた理由を明かした。

「なんといっても、“エネルギッシュな発達君”と毎日一緒にいることですね。息子は蜂が嫌いすぎて外に出たくないといった謎のこだわりがあって、体力や時間を持て余し退屈さを親にぶつけるしかない。その状況がやっぱり大変ですね」

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 ゴリラママさんは、ADHD、反抗挑戦性障害と診断された息子「チンパン君」との日常をブログで赤裸々につづっている。外出自粛の影響で増えている「密室子育て」の対処法を明るく伝えているゴリラママさんだが、実際はブログのタイトル通り「頭がちぎれそうな」毎日を送っていた。

「夏休みとか長時間(息子と)接するときは、一緒にいると文句を言われたり暴言を吐かれたりする機会がすごく多い。それがストレスになっちゃうので、基本的に別室にいて必要時接触するようにしました」

 そうした中で頼りになるのは、ゴリラママさんの母であるチンパン君のおばあちゃんと学校。だからこそ、“夏休みの延長”問題はゴリラママさんにとって死活問題だった。

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 自宅で一緒にいれば、お互いに感情をぶつけ合ってしまうこともしばしば。

「例えば『牛乳を入れてほしい』ということに関しても、(ゴリラママさんが)『自分でやればいいじゃん』と言うと(息子が)『なんでやってくれないんだ』と。やってくれないことにいら立ち、『やってくれないやつはクズだ』と暴言を吐いて、『死ね!ブタ!』と言われることが日々あります。親も人間なので、『なんでそんなこと言われなきゃいけないの!』とキレます」

 仕事も子育ても両立させようと奮闘してきたゴリラママさん。シングルマザー故の生活面や金銭面での苦悩を明かした。

「シングルマザーなので、1人で働かなくてはいけない。仕事もかなり“きっちりやりたい派”で、子育てもやらなきゃいけないと思っていたので、その中で子供が不登校や登校しぶりで定時に行かなくなってしまった。そうすると毎日『仕事先に遅れます』と電話をしなきゃいけない。生活も、お金の面もすごくあったし、日常生活も全然普通にいかないので、『今日生きられるのか』『明日生きられるのか』そういう選択が連続する日々があって。そこがしんどかったですね」

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 障害の有無に関わらず、“言うことを聞いてくれない子供”を持つ親が直面する子育ての壁。ゴリラママさんは、そんな親が頼れる場所である児童相談所に駆け込んだ。しかし、児童相談所の方から共感の言葉はなく、「別に学校なんて行かなくてもいいんじゃないですか。行かなくても立派な大人になっている人はたくさんいますよ」と言われ絶望を深めた。

 その後も支援サービスなどを受けようと相談するが、自治体から渡されたのは事業者のリストだけだった。

 心身ともにすり減った状態で、多くの人は支援までたどり着けないのではないか。ゴリラママさんは自身の経験を経て、「まずは親の支援が重要」だと強く訴える。

「親の支援で求めたいことがありすぎて……とにかく親の心が救われるサービスとか、支援まで最短距離で繋がるサービス、ワンストップで繋がるサービスがほしいなと願っています。児童相談所の一件もありましたけど、せっかく相談しようと思った母親の心にシャッターを閉めてはいけないと思うんですよね。熱心に相談したところで、1か所で問題が解決することもなく、結局また自分で探すというようなループがあって。これでは支援の前に心が折れるよなと思っています。やはり、私も二度と自分と同じ思いをしてほしくないです。ただ、みんなが同じ道を通っているのを感じると納得がいかないです」

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 最終的には、理解あるカウンセラーとの出会いや、チンパン君と一緒に医師に診てもらうことなどで少しずつ気力を取り戻していったゴリラママさん。

 また連日のように「死にたい」と暴れていたチンパン君には、“ある変化”があった。学校で配布されたプリントの「自分のいいところ」という問いに「生きてる」と回答。これを見たゴリラママは「わが息子よ。それでいい」と誇らしげにつぶやいていた。(『ABEMAヒルズ』より)

【映像】「親の支援が重要」ゴリラママさんの願い(5分50秒ごろ~)
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