適応障害により休養に入っていた俳優の深田恭子さんが2日、自身のインスタグラムで仕事へ復帰することを明らかにした。この発表に、SNS上には“おかえりなさい”という歓迎の声や、“無理はしないでね”など、体調を慮る声が寄せられている。
同日の『ABEMA Prime』に出演した精神科医・産業医の井上智介氏は、「適応障害」について「うつ病とは違って、しっかりとした“引き金”があるのが特徴だ。たとえば自分の裁量がなかなか与えられてない人も増えているという印象があるし、職場から簡単な軽作業などが減ってしまい、ちょっと体調が悪いなという時、そういった業務に移るということが難しい社会になっていることもある。そうしたストレスフル状況や環境に対処できるだけのキャパシティを超えてしまったために身体面、精神面、行動面に様々な症状が表れ、日常生活に弊害が出てきてしまう」と説明する。
その上で、深田さんについては「逆に言えば、その“ストレスの源”が外れていけば体調が良くなる方が多く、深田さんのように3カ月ほど休職して職場に復帰されるという方も決して少なくはない。ただし、職場復帰を目指す方の中には焦るあまり、まだ症状が良くなっていないのに戻ってしまうケースもある。
その点、深田さんのコメントを見ると、本当に一歩一歩進んでいきたいということが伝わってきた。病状が安定しているので、焦らず、徐々に復帰されるんだなという印象を持った。また、9月に復帰されるということにも非常に意味があると思う。学生さんなど、ちょうど環境の変化でストレスを感じる人がたくさん出てくる時期だ。影響力のある深田さんが復帰されるということで勇気づけられる人もいると思う」と話した。
脳科学者の茂木健一郎氏は「大坂なおみ選手や、東京オリンピックで金メダル候補だったアメリカの体操選手が休まれたということもあった。深田さんも含め、休んで良いんだよ、ということをインフルエンサーが示してくれることはいいことだ。それから、戻ってくるのはいつでもいいし、復帰しても、ああちょっと無理だった、ということでももちろんいい」とコメント。
フリーアナウンサーの柴田阿弥は「体の不調については休めと言われても、心の不調についてはまだまだ馴染みがないと思う。“心の不調でも休んでいいんだ”ということが示されたことで、勇気づけられた人もいると思う。ちょっと疲れているとイライラしたりとか、なんとなく仕事は不安を覚えるというのは誰しもあること。どれくらいの症状を感じたら病院に行ったらいいのだろうか」と井上医師に尋ねた。
井上医師は「ストレスを感じた時には、まず体の症状が出やすい。その後に行動に変化が出てきやすくなる。例えば眠れなくなったり、イライラしてケンカが増えてしまったり、無口になってしまって対人関係で少しギクシャクしたり。そういう中で、お仕事の面で休みが増えてくる。イライラするぐらいまでであれば問題はないが、そこから一歩進んで何か不具合が出てくるというところがあれば、やっぱり病院には来ていただきたい」と答えた。
深田さんの復帰を喜ぶ声とともに、「そもそもどう声をかけたらいいか分からない」という声も聞かれる。周りはどのように接していけばいいのだろうか。EXITの兼近大樹も「この仕事をしていると、自分が予期していない捉え方をされることがメチャクチャある。どういう気持ちでやっていても、自分の気持ちとは裏腹なことがいっぱい起こる。その意味では、深田さんも復帰した後がまた大変なんじゃないかなという心配がある」と懸念を示す。
井上医師は「例えば休みが続くと、それでも現場は回るんだ、と感じ、自分の存在価値を疑い始めてしまうケースもある。あるいは復帰後、周りがよそよそしくなって自分のことに触れて来ない、また腫れ物に触るような接し方をされてしまうと、余計に自分はいらない存在なのかなと思い始めてしまう。やはり“みんなで待ってたよ”と伝えられるような姿勢が大切で、それはケガをして入院した方が復帰したときに“大丈夫だったか”“何かあったらいつでも声かけてね”と声かけをするのと同じことだ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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