尾身会長の“出口戦略”提言 最前線でコロナと向き合う現場医師の見解は
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 政府分科会の尾身茂会長が3日、同分科会で希望者のワクチン接種がほぼ完了する秋以降を目安に、ワクチン接種済み、または検査で陰性がわかっている人の行動制限緩和、つまり“出口戦略”について議論を行ったことを発表した。「ワクチン接種が進む中で、日常生活はどのように変わり得るか、という題で議論した」と話し、議論の結果などを受け、来週にも政府がロードマップを公表する予定だ。

【映像】尾身会長が提言した“出口戦略”の内容 OK・NG一覧(画像あり)※3分50秒ごろ~

 ワクチン接種が進めば、行動制限を緩和してもいいのだろうか。Twitterでは「今の感染状況を見ても、11月に緩和は無理では?」「また寒くなれば増えるから危なくない?」といった意見が寄せられる中、ニュース番組『ABEMA Prime』では、尾身会長が出した出口戦略の中身を詳しく見ていった。

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尾身会長の“出口戦略”提言 最前線でコロナと向き合う現場医師の見解は
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 分科会で尾身会長が打ち出した案は「ワクチンと検査をセットで受けた人には、行動を緩和していこう」というもの。具体的には、ほとんどの希望者にワクチン接種が行き渡る11月ごろを目指すとしている。

 愛知医科大学循環器内科の医師、後藤礼司氏は「出口戦略で、今はオプションとして有効なのがワクチンと検査しかない。特にワクチンを重点的にやった上で、プラスアルファでPCR検査や抗原検査をやることで、よりリスクヘッジをしていこうとした結論だろう」と見解を示す。

 過去、尾身氏は『ABEMA Prime』に出演した際に「ワクチンを2回打ったからといって、感染者はゼロにはならない」と話している。後藤氏も「結論を言うと『“ゼロコロナ”は無理だ』とフェーズとして分かっているはずだ」とコメント。その上で「新型コロナと共存していく、いわゆる、経済も壊さず、医療も崩壊せずに、犠牲者が増えないギリギリのラインをどのように決めていくのか。まだ、これはすり合わせの段階だ。尾身さんは最近いろいろな活動をされていて、より市民の人たちに向けた発信や対話を意識しているように思う。今回の案も分科会の意見とは別に『私が噛み砕いた1つの意見ですよ』といった形で出されたのも、そういう意図があるように思う」と語った。

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 ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「フランスの場合は、もともとワクチンを打ちたくないと思っていた人も、生活するために打たざるを得なくなった」と話す。

「ワクチンパスポートができたおかげで、みんな酒を飲めるようになった。でも、本当は打ちたくないと思っている人が、打たないと飛行機に乗れない、レストランにも入れない。普通に生活するために仕方ないとワクチンを打って、接種率が上がった。だから、フランスのようなワクチンパスポートをやらないと、日本のワクチン接種率は、上がらないままなのではないか」

 ひろゆき氏の指摘に後藤氏は「同感だ。やはりワクチン忌避や、デマに流されてる人たちがいるので、僕らは正しい情報をちゃんと出しつつ、対応を続けないといけないと思う」と回答。

「各国で接種率が5割6割になってきたとき、そこから伸び悩んだり、若い世代の接種率が上がらなかったりといった事例がある。あとひと押しの部分は、ワクチンパスポートや、制限緩和のための1つの条件として出せれば、接種率はまだ上がるだろう」

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 実際に制限緩和案の中身を見て、後藤氏はどのような印象を持ったのだろうか。

「まず小さい集団から施策を始めてみて、大きく影響がないものから段階的に緩和していくだろう。ただ、修学旅行や小中学校の対面授業については、違った方向性を持ってやるべきだ。例えば、対面授業は、オンラインの工夫がなかなか進んでいない。この状況で何を優先するのかを見たとき、飲食店における時短解除、酒類の提供開始、旅行や出張、会食がOKなのに、修学旅行・小中学校の対面授業はNGになっている。これでは、経済優先の出口戦略に見える。まだ案なので、学校についてはこれからいろいろな議論がされていくと思いたい」

 たしかに、尾身氏が示した現状の案では、小中学校の対面授業は不可となっている。ひろゆき氏は「全部の授業をオンラインで行うことは無理だ」と見解を語る。

「12歳以下だと、新型コロナのワクチンが接種できない。フランスでもまだ12歳以上しか打てない決まりになっている。学校の教室で、完全に新型コロナの感染を防ぐことは無理だ。理化学研究所の研究で、お互い2メートル以上離れないと感染の可能性があることが分かっている。じゃあ対面授業しないとなったら、来年授業はやるのか。小学生、中学生の授業を全部オンラインにするのは無理だ。いつか学校は開かないといけない。そうするとクラスの中で感染が起きる。感染を完全に抑えながら授業を行うのは無理だと認めなければいけない」

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 ワクチン接種が2回済んでいても、新型コロナの感染を完全に防げるわけではない。後藤氏によると、例え感染した子供が重症化しなくても、同一家庭で暮らす親世代に感染が広がることで、医療崩壊が起きると話す。

「尾身さんも言っていたが、ワクチンを打ったとしても感染した事例がある。僕は医療従事者で、かれこれワクチンを打ってから5カ月ぐらい経っている。半年ぐらい経つと効果が落ちてくるといった研究結果が報告されているので、仮に僕が感染して重症化しなくても、少なくとも医療に携われない期間が14日間ある。例えば子供がいる家庭で、医療者や親世代に広まってしまうと、結果として医療から順番に崩壊してしまう。(学校で)子供が感染して、子供が重症化しなくても、結局大人がもらって感染する。それが社会に広がって、結果として経済が止まる。今だと、熱が出るだけでもお医者さんはコロナのことを疑われて、PCR検査をして、場合によっては長めにお休みを取らないといけない。この状況から徐々に脱却していくためには、やはり感染率を減らして、コロナを疑わなくて済むようなところまで来ないといけない。だから『子供はクラスター感染が起きやすいから心配だ』という議論にどうしてもなってしまう」

 後藤氏の説明にひろゆき氏は「親御さんや家族がワクチンを打っていれば、子供が家にウイルスを持ち込んでも、そこまで重症化リスクはないだろう」と推測。「親御さんがワクチンを打っていれば、その家庭の子供は学校に行ってOKといった形にできないのか?」と質問した。

 後藤氏は「できると思う」と答えた上で、エッセンシャルワーカー(※医療・福祉・小売など最低限の社会維持に必要不可欠な労働者のこと)の存在に言及。

「僕はまだ子供はいないが、例えば、僕に子供がいて感染して家に帰ってきたとする。そうなると、家で一緒に過ごしていれば、家族は濃厚接触者の認定を受けてしまう。そうなると、僕は仕事に行くことができない。自分が重症化しなくても職場に行けない。いわゆるエッセンシャルワーカーの人が、現場に出られないと、経済が止まる。そこのバランスをどうするかだと思っている。僕は教育の場は大切にするべきだと常に思っているので、今後そこがどこまで容認されるのか気になっている」

 尾身氏が示したコロナの出口戦略。“ゼロコロナ”の実現が難しい中、どのようにバランスを取っていくのか。まだ議論が求められている。(『ABEMA Prime』より)

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