米疾病対策センター(CDC)は、医療施設における診療データを基に新型コロナウイルスと心筋炎の関係を調べた研究結果を発表した。CDCによると、2020年3月から2021年1月に新型コロナ陽性と診断された患者の心筋炎発症リスクは非コロナ患者と比べて15.7倍で、さらに16歳未満および高齢者ではそのリスクが高まったという。
そもそも心筋炎とは、どのような病気なのだろうか。 NTT東日本関東病院で働く医師のニコラス・レニック氏は「簡単にいうと、心臓は筋肉でできているのですが、その心臓の筋肉が炎症を起こすことを心筋炎といいます。なぜこの病気が起きるのかというと、原因は免疫系です。身体の中にはいろいろな細胞や抗体があって、それらが身体に入ってきたウイルスなどの“敵”と戦う仕組みになっています」と説明する。
「細胞や抗体が『“敵”が入ってきた』と思って、心臓の筋肉を攻撃することで心筋炎が起きます。すると、心臓にダメージが与えられて、ポンプとしての機能が維持できなくなる。胸の痛みや肺に水が溜まることによる息切れなどの症状が出る場合もあり、心不全に至ることもあります」(レニック氏・以下同)
また、先月25日、厚生労働省は米ファイザー製と米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンを接種した後「心筋炎や心膜炎が疑われる症状が出た」といった報告が、延べ72件あったと公表した(※データは8月8日までの集計)。CDCが発表した研究結果と合わせて、レニック氏は新型コロナと心筋炎の関係について、どのように考えているのだろうか。
「ワクチン接種と新型コロナの心筋炎リスクを比べると、リスクが高いのは圧倒的にコロナ感染です。ワクチンもある程度、免疫系を刺激していますが、コロナ感染のほうが強い刺激になります。過去にもアストラゼネカ社のワクチンで血栓のリスクが指摘されましたが、こちらもコロナ感染のほうがはるかに血栓リスクが高いです」
コロナ感染に伴う心筋炎リスク。厚生労働省はワクチン接種による心筋炎の発生頻度は100万回接種あたりファイザー製で0.7件、モデルナ製で1.1件とした上で、接種から数日内は胸の痛みや呼吸困難などに注意が必要であるものの、接種によるメリットは大きいと結論づけている。 (『ABEMAヒルズ』より)
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