藤井聡太三冠、1分将棋の局地で生んだ絶妙手「▲9七桂」解説棋士も「普通の人が見る世界と違う」
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 9月13日に行われた将棋の叡王戦五番勝負、最終第5局。藤井聡太三冠(王位、叡王、棋聖、19)が豊島将之竜王(31)を111手で下しタイトル奪取に成功、史上最年少の19歳1カ月で三冠を達成した。序盤から中盤にかけて、じっくりとした進行をたどった将棋は、残り時間が少なくなってから激しさを増すことに。最終盤には、両者持ち時間を使い切り1分将棋に突入した。藤井三冠がリードを広げたところで迎えた103手目。ここで飛び出したのが「▲9七桂」という絶妙手だった。これには中継の解説棋士からも「(思考が)追いつかないですね…」「普通の人が見る世界とちょっと違いますね」と、その発想に驚きの声が相次いだ。

【動画】藤井聡太三冠、最年少記録誕生の瞬間

 この「▲9七桂」という手。中継していたABEMAに搭載されている「SHOGI AI」では、推奨手のベスト5にも入らず、指した瞬間は大きく勝率を下げるものだった。ただ、この手を見た瞬間、深浦康市九段(49)、高見泰地七段(28)は揃って「うお~」と声をあげることに。もちろんそれは勝率が下がったからではなく、そんな攻めの一手が発見できるものなのか、という驚きだ。

 深浦九段 桂馬、跳ねるんですか。すごい手だなあ。

 高見七段 そこですかー。いやー、(思考が)追いつかないですね。

 その後、高見七段が9七に跳んだ桂馬が、さらに8五の地点に達すると、一気に豊島玉が寄ってしまうと解説。AIによる勝率以上に、豊島竜王にとってはダメージのある手となった。

 深浦九段 ▲9七桂はすごいですね。いい手じゃないですか。1分将棋であんな手が見えるんだ。

 高見七段 普通の人が見る世界とちょっと違いますね。▲9七桂は誰も読んでないし、1分で対応するのは難しいですね。

 この絶妙手が、たっぷり持ち時間があるところで生まれた手だったら、周囲の評価もまた違ったかもしれない。ただ深浦九段、高見七段が言うように、1手60秒以内に指さないといけない、1分将棋の真っ最中。想定外の手が飛んできた時の驚きと、その手の意味を理解するには、いくら豊島竜王であっても1分では足りない。対人戦という意味では、AIが弾き出した想定しやすい最善手よりも、想定外の勝負手の方が、その衝撃度が大きいのだろう。

 今や将棋ソフトによる評価が、プロ・アマ問わずに広く知られる時代。指した瞬間の数字の変化で最善だ、悪手だといった声が飛び交うことも珍しくない。ただ同時に、ソフトの最善よりも次善手、さらにはそれ以外の手の方が、人間としては厳しく感じることもある、ということも知られてきた。藤井三冠は10月から豊島竜王に竜王戦七番勝負で挑戦。快挙達成から間を置くことなく四冠を目指すが、ここでもきっと後々まで語られる一手が生まれる。

(ABEMA/将棋チャンネルより)

藤井聡太三冠、誕生の瞬間
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第6期 叡王戦 五番勝負 第四局 豊島将之叡王 対 藤井聡太王位・棋聖
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お~いお茶presents第4回ABEMAトーナメントチーム藤井VSチーム木村
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