9日に開催された経済同友会のオンラインセミナーでサントリーホールディングスの新浪剛史社長が提言した、“45歳定年制”。
終身雇用や年功賃金制から脱却し、企業の価値を高めるためにも45歳を区切りにすべきとの意見だったが、困惑する声の高まりから、翌10日には”「定年」という言葉の使用はまずかった”などと釈明することになった。
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経営コンサルタントの横山信弘氏は、“45歳定年制”の企業側のメリットについて「“次のキャリア“を考える際には40~45歳がリミットとなるため、従業員を良い形で外へ、という考えのもと、その年代で定年を設定しておけばキャリアアップしやすくなる。また、人材の流動性がアップすると、生産性もアップする。上の世代が詰まると若い世代が育たないので、企業の新陳代謝の促進にもつながる」と説明する。
東洋経済新報社・会社四季報センター長の山田俊浩氏も「今はむしろ“定年延長”によって年金の支給開始年齢を遅らせるという考え方が主流になっている。しかしそれでは行き詰まっちゃうし、一つのアンチテーゼというか、多様性があった方がいいよね、というのが今回の発言の真意だと思う。定年という一つの節目を置いておくことで次のステップへと背中を押しやすいというのもあるし、早期退職を選択できる制度を設けている会社もあるが、それを55歳くらいでやるよりは、より活力のある年齢の方が良いのは確かだ」と話す。
「経団連が新卒一律採用をやめようと言っていたように、大企業は古い枠組み、一律の枠組みを壊したいと色々なアイデアを出している。ただ、60歳じゃきついから45歳という考え方が出てくるのは、ちょっと古いと思うし、すごく面白い提案ではあると思うが、全員に対してやったら大変なことになるという話だ。欧米の企業のように一律の定年を設けるのではなく、個別にジョブ型で雇用し、年齢が高くてもやれる仕事、若くなきゃやれない仕事など、年齢に縛られない雇用を提案しなければ、新しくない」。
BlackDiamondリーダー兼CGO(チーフ・ギャル・オフィサー)のあおちゃんペは「実力のない人には出て行ってほしいというのは会社として当然の話だろうが、あまり現実的ではないと思う。45歳までに残りの生涯を生きていくためのお金を貯められるかといったら絶対に無理だと思うし、それが世の中的に良しとされてしまうのは怖い。45歳どころか、明日にも仕事がなくなるかもっていう不安とともに生きている人も多いと思うし、ストレスで心が壊れてしまう人も増えるんじゃないか」と懸念を示す。
「私は会社にいる以上、いてほしいと思われる人材でありたいと思っている」と話すテレビ朝日の平石直之アナウンサーも「今までも“50歳くらいで定年がいいんじゃない”、みたいな話はあったが、さらに5年前倒しになったというところに、企業は社員を抱えているのがしんどいんだな、というのが現れている気がした。ただ、45歳以上の人でも採用したいという会社ってほとんど聞かないし、その年代は大抵の人が子育て中だ。そういうタイミングで放り出されるのは困るし、逆算してローンを組む、子どもを作るという話とも連動してくるから、子どもの数も減ってくるだろう」とコメント。
一方、ジャーナリストの堀潤氏は「僕は35歳でNHKを辞めたが、判断した理由の一つに、今のこの気力が40代になったら尽きるかもしれないと思ったということがある。45歳くらいを区切りに、違うところに行って新しいことを始めるというのは決して悪い話ではないんじゃないかと思うし、何か煮えたぎるような、あれをやりたい!というようなパワーを社会に還元できたらいいのかなと思う」と話す。
その上で堀氏は「日本型というか、セーフティネットを会社が担うというのを見直してもいいのかもしれないし、労働や金融に関する制度や法律の教育も揃えて始めて成り立つ話なのかもしれないとも思う。それから転職だけでなく、副業や、柔軟で選択肢がある働き方も広がっていけば解放される人も多いと思うし、45歳定年も受け入れられるようになるんじゃないか」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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