【日本 0-3 チュニジア キリンカップサッカー2022】

 キリンカップサッカー2022の決勝が14日に行われ、サッカー日本代表はチュニジア代表に0-3の大敗を喫した。

 日本代表は前半45分間でシュート0本と停滞し、後半に3失点しての惨敗だった。その3失点全てに関与したのが、DF吉田麻也だ。

 6月シリーズの4試合全てに先発出場し、キャプテンとしてチームを引っ張ってきたベテランセンターバックは53分にペナルティエリア内でファウルを犯してPKを献上。76分に味方との連携ミスでボールを奪われて2失点目のきっかけを作り、後半アディショナルタイムの93分にはセンターサークル付近でボールにチャレンジしながら相手に入れ替わられ、そのプレーが3失点目につながってしまった。

 PK献上の場面について、吉田は「シンプルに僕の個人的なミスかなと思います」と認める。そして「(左サイドバックの伊藤洋輝が)入れ替わった時に、強いていえばもう少しスライドしないといけなかったかなと思いますけど、それを考慮しても滑ってはいけない。あれで試合を壊してしまったのは間違いない。重々承知しています」と猛省していた。

 伏線は確かに吉田のスライディングの前にあった。左サイドでロングボールを処理しようとしたDF伊藤洋輝の対応が一瞬遅れて相手選手に入れ替わられ、後手の対応を強いられるシチュエーションができあがってしまった。

 それでも「滑ってはいけない」場面だった。吉田はスライディングしながらとっさに足を畳んだが、勢いは抑えきれず、膝のあたりで相手選手を倒してしまった。

 2失点目も3失点目も、ミスが大きな痛手につながったのは間違いない。ピッチ内外でチームを引っ張ってきた吉田が崩れてしまったのは、組織全体のパフォーマンスにも影響しかねない重大事だ。

「今日に限らずですけど、(チーム)全体を見ることと自分のプレーやパフォーマンスを向上させること、2つのタスクがあることはキャプテンになってからずっと担ってきました。もちろん周りを気にしつつ、自分がパフォーマンスをしっかりしないといけないし、ここにいる価値は自分のパフォーマンスでしか示せない。いいコメントを残そうが、いいアクションをしようが、サッカー選手なのでピッチ内のパフォーマンスが大事ななのは肝に銘じています。それが今日はできなかったなと」

 ピッチ外での発言や行動の説得力も、全てはピッチ内でのパフォーマンスによって生まれてくる。もしパフォーマンスが日本代表にふさわしくなければ、チームキャプテンといえども生き残っていくことができないのは吉田自身も承知している。

 だからこそ、今回の敗戦で下を向いているわけにはいかない。顔を上げて、さらに力強くなって、自らの存在価値をもう一度周囲に示さなければならないと、吉田は肝に銘じている。

「監督からの信頼は感じます。(信頼を)積み上げていくのは大変だけど、サッカーではワンプレーで人生が変わるし、(1つのミスでも)信頼を失ってしまうと理解しています。ここから9月に向けて、なるべく早くいいチームで試合に出てコンディションを上げないと、自分自身のポジションがなくなるのは理解しています。ワールドカップ直前だからではなく、日本代表に入った時からずっとやっていることを続けていくだけです」

 吉田は今夏サンプドリアとの契約が満了を迎えるため、移籍が濃厚になっている。複雑な状況ではあるが、存分に輝ける新天地を見つけ、カタールワールドカップに向けてチュニジア代表戦のミスを帳消しにするような巻き返しに期待したい。

(取材・文:舩木渉)