11月20日(日本時間21日)に開幕する「FIFA ワールドカップ カタール 2022」。それにさきがけ、国際サッカー連盟(FIFA)のデジタルプラットフォーム「FIFA+」では、これまで大会をにぎわせた選手にスポットライトをあてた番組『アイズ・オブ・ザ・ワールド』を配信中だ(全10エピソード)。第6話では、フランス代表MFジネディール・ジダンが2006年・ドイツ大会決勝イタリア戦で起こした頭突き事件に迫った。

代表の盟友ユーリ・ジョルカエフ(仏代表1993-2002)はジダンのことを「ピッチ内では彼の性格が出る。謙虚で無口、そして鋭い観察力。温かい人柄」と評するほど、フランスでは英雄視されてきた。欧州の名門ユヴェントスやレアル・マドリードで活躍。ワールドカップもジダン初出場の1998年には優勝、2002年・日韓大会ではグループリーグ敗退も、06年はチームで精神的支柱の役割を期待されるほどだった。

スイス、韓国、トーゴの組に入ったグループGでは低調。1勝2分けの2位で決勝トーナメントに進出。そこから、スペイン(ベスト16)、V本命ブラジル(準々決勝)、ポルトガル(準決勝)を撃破。グループリーグでは、なりを潜めていたジダンだが、「バレリーナのような」ドリブル、アシスト、華麗なゴールで観衆を沸かせ、W杯の主役に躍り出た。

決勝のイタリア戦。前半、鉄壁のGKジャンルイジ・ブッフォンに対し、ゴールの中央へチップキックで柔らかいボールを放つ「パネンカ」でPKを決め先制。しかし、イタリアもマルコ・マテラッツィのヘッドですぐさま追いつく。

ルカ・トーニ(イタリア代表2004-09)が「戦争さながらだった」と言った死闘がつづく延長戦後半、温厚なジダンが信じられない行動に出る。マテラッツィから言葉を浴びせられ挑発されたジダンは、振り向きざまに正面から頭突きを食らわせ、一発レッドで退場となってしまったのだ。試合はPK戦になり、主軸を欠いたフランス代表は準優勝に終わった。

「現役最後」と公言していた締めの大一番での蛮行。あのジダンが、マテラッツィのどんな言葉に激怒したのか。「実姉を馬鹿にした」等さまざまな理由が推察されたが、ジダン本人はかたくなに公表しなかった。

FIFA ワールドカップ カタール 2022 完全ガイド by ABEMA
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