現在開催中のFIFAワールドカップ カタール2022で、日本は優勝候補だったドイツとスペインを撃破してグループステージを突破、決勝トーナメントに駒を進めました。ここでは日本の予選グループでの戦いぶりを振り返るとともに、下馬評では不利だった日本がなぜ決勝トーナメントに進出できたのかを考察していきます。
目次
- 予選でのサッカー日本代表の対戦相手は?
- サッカー日本代表が予選グループを突破できた理由は?
- まとめ
予選でのサッカー日本代表の対戦相手は?
FIFAワールドカップ カタール2022で、抽選の結果日本はグループEに入ることになりました。ここには、日本のほかにワールドカップ2014年ドイツ大会で優勝したドイツと2010年南アフリカ大会で優勝したスペイン、そして大陸間プレーオフで勝ち上がってきたコスタリカが入っていました。
ドイツは世界を代表する強豪国の1つで、ワールドカップでの成績は優勝4回、準優勝4回。さらに1954年から2014年まで、16大会連続でベスト8以上に進出するという大記録を打ち立てています。2018年の前回大会ではグループステージ最下位に沈む屈辱を味わいましたが、それだけに今回の大会に賭ける思いは強そうだったと推察されます。
そのドイツは初戦で日本に敗れるジャイアントキリングを食らい、2戦目でスペインと引き分け、3戦目でコスタリカに勝利したのですが、勝ち点で並んだスペインとの得失点差で予選グループ3位となってしまい、決勝トーナメント進出は果たせませんでした。
一方のスペインは欧州屈指の強豪チームで、FIFAランキング1位に輝いた経験を持つ8か国の1つ。日本では「無敵艦隊」の愛称で知られており、ワールドカップでは2010年の南アフリカ大会で念願の初優勝を果たしました。UEFA欧州選手権(Euro)でも3度も優勝しており、ドイツと並んで優勝最多回数を誇っています。
スペインは、初戦ではコスタリカに7得点の圧勝、2戦目でドイツと引き分けた後、3戦目で日本にリードを奪いながら逆転負け。しかし大量得点を得ていたため、予選グループ2位通過を決めています。
上記の2か国と比べると明らかに格が落ちるのがコスタリカですが、それでも決して弱いチームではありません。2014年大会では、いずれもワールドカップ優勝経験を持つウルグアイ、イタリア、イングランドの3か国とグループステージで同組になりながら、グループ首位で予選を突破してベスト8まで進んでいる侮れない相手でした。
下馬評は低かったのですが、日本が2戦目でハイプレスをかけないポゼッションサッカーを展開した結果、コスタリカの守備を崩しきれず逆に連携ミスを突かれて日本の敗北となりました。初戦と3戦目は番狂わせを起こすことなく敗れたため、予選グループ最下位で姿を消すことになりました。
これらの国と戦うことになった日本は、ワールドカップでの最高成績はベスト16止まりと、グループEの4か国の中では最低。しかし、前回大会では当時FIFAランク3位だったベルギーをあと一歩のところまで追い詰めた実績もありました。
そんな日本は、ドイツ戦で勝ち点3を積み上げましたがコスタリカ戦でまさかの敗戦を喫し、運命の3戦目でスペイン相手に大逆転勝利。予選グループ3試合すべてで大方の予想を裏切るというサプライズにサプライズを重ねた戦いぶりで、予選グループをまさかの首位で通過しています。
サッカー日本代表が予選グループを突破できた理由は?
上記の通り、サッカー日本代表はドイツとスペインの2大優勝候補を破り、2勝1敗の勝ち点6でグループEを1位で突破しました。しかし、戦力で明らかに劣る日本が強豪国2チームに勝てた理由は何だったのでしょうか? もちろん選手個人個人の活躍によるところも大きいですが、ここではより大きな視点からの日本の勝因を解説します。
①ドイツの交代ミス
まずドイツ戦の勝利についてですが、日本は前半に押し込まれましたが失点をPKの1点のみでしのぎ、後半にフォーメーションを変えて攻撃に転じました。ところがドイツはそれに対応することなく、トーマス・ミュラー選手とイルカイ・ギュンドアン選手を後半22分に交代で下げてしまいます。
この選手交代でドイツは中盤の抑えが効かなくなって日本にボールを奪われる機会が増え、逆転を許してしまったのです。フォーメーションを変える、積極的に前線からボールを追うなどの日本の勝因となる要素はもちろんありましたが、それと同等以上に、ドイツの交代ミスという敗因が存在した試合だったという印象はあります。
②スペインの攻撃の姿勢
そして3戦目のスペイン戦については、スタメンを5人入れ替えてきたスペイン側の姿勢によるところがあるでしょう。少なくとも、ベストメンバーで積極的に攻めるつもりのプランではなかったようで、実際にスペインは前半に1点を先制するとアグレッシブに攻めてこなくなりました。
同時刻に行われていたドイツ対コスタリカ戦で、コスタリカがリードしている時間帯には必死さも垣間見えましたが(コスタリカが勝利した場合、スペインは日本戦に敗北すると予選敗退となるため)、ドイツが逆転するとスペインの強引な攻めは鳴りを潜めたところもあった印象です。「このまま試合が終われば予選グループを突破できる」という余裕から、無理に攻めようとしなかった……という見方もできるのではないでしょうか。
③森保監督の采配の妙
これは特にスペイン戦で顕著でしたが、やはり森保一(もりやす はじめ)監督の采配が冴え渡ったのも日本の勝因のひとつでしょう。まずフォーメーションですが、4バックでスタートするという予想を裏切って最初から3バックを選択。そして後半開始直後から、両ウイングバックが高い位置を取り始めてスペインの圧力が減少、ボール奪取からの2得点に繋がりました。
また、スペイン戦で相手が左サイドに攻撃的な選手を2人投入して交代カードを使い切ると、即座にDF冨安健洋(とみやす たけひろ)選手をウイングバックとして投入して同サイドからの攻撃を封じるなど、選手交代の選択とタイミングが神がかり的に冴えていたのは間違いありません。途中交代で入った選手が多く点を取っているのもその表れではないでしょうか。
まとめ
以上、FIFAワールドカップ カタール2022で日本がグループステージを勝ち抜いた経緯と理由をまとめました。日本は初めて2大会連続でグループステージを突破したことになりますが、これは韓国なども達成していないアジアで初の快挙でもあります。
残念ながら決勝トーナメント1回戦で敗退してしまいましたが、スペインやドイツに勝った実力で、4年後にさらなる飛躍を遂げることを期待しましょう!