サラビアが所属するパリ・サンジェルマンは、フランス・リーグアンの絶対的王者だ。潤沢な資金力を武器に世界中から実力者をかき集め、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝を目指している。今季はリーグアン屈指の名将クリストフ・ガルティエを新監督に招へいし、派手さと堅実さを両立したチーム作りを遂行している。フランス代表FWキリアン・エンバペ、ブラジル代表FWネイマール、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシからなる強力3トップの破壊力は凄まじく、今季は悲願の欧州制覇にも大きな期待が持てる内容を見せていると言えるだろう。
サラビアはスポルティングCPへのローン移籍を終え、今夏パリ・サンジェルマンに復帰した。しかし、強力3トップの存在やカルロス・ソレールの加入もあり、ここまでリーグ戦の先発出場は9試合中わずか3試合に留まっている。ただ前線のバックアッパーとしては高い貢献を見せており、コンディションに大きな不安がなさそうなのは朗報だ。
レアル・マドリードの下部組織から着実にステップアップ
スペインのマドリードに生を享けたサラビアは、2004年にレアル・マドリードの下部組織に加入。その後は順調に昇格していき、2010年にはトップチームの一つ下のカテゴリーであるカスティージャでデビューを果たした。またU-16からスペインの世代別代表に招集され続けるなど世代屈指のタレントとして知られるようになっていった。2010年12月にはCLのオセール戦でトップチームデビューを飾るが、トップ定着には至らず。1部での出場機会を求め、2011年にスペインの中堅クラブであるヘタフェへの完全移籍を決断した。
出場機会を求めてヘタフェに加入したサラビアだが、加入後の2年間はレギュラーを獲得できず、出場機会も年間20試合以下に留まっている。状況が変化したのは3年目となる2013-2014シーズン。サラビアは開幕戦から先発のチャンスを掴むと、その後も継続的に起用されていく。途中には監督交代もあったがレギュラーの座を離さず、33試合に出場し1得点6アシストとブレイクを果たした。2015/16シーズンにチームは降格してしまうものの、個人では31試合7得点6アシストを記録し移籍市場の人気銘柄となり、シーズン後の夏にセビージャへとステップアップを果たした。
セビージャでは、1年目から主力として起用され34試合8得点9アシストを記録している。当時の監督だったホルヘ・サンパオリは試合中のポジション変更を多用する傾向にあり、左右を問わず高いクオリティを発揮できるサラビアは重宝されていた。その後の2シーズン、セビージャでは短期間で監督が何人も交代になるがサラビアはその影響を受けずに安定したパフォーマンスを披露。2018-2019シーズンにはキャリアハイとなる33試合12得点13アシストを記録し、リーガ・エスパニョーラのアシスト王に輝いた。
さまざまなビッグクラブが関心を寄せる中、サラビアはついにパリ・サンジェルマンに活躍の場を移す。パリでは安定したパフォーマンスこそ見せるものの、大きなインパクトを残せない日々が続く。選手層の厚さもあり、加入後の2シーズンは準レギュラーといった立ち位置に留まった。すると2021年夏には出場機会を求め、ポルトガルリーグを制したばかりのスポルティングにローンで加入。スポルティングではすぐさま攻撃の中心選手となり、29試合15得点8アシストという圧巻の数字を残して実力が錆び付いていないことを証明した。そして今季からは再びパリでの挑戦を開始した。
アジリティに優れたドリブル突破
小柄でアジリティに優れており、相手の重心の逆を取ってかわしていくドリブルで相手の脅威となる。それに加えてキック精度が非常に高く、受け手にピンポイントで合わせる高速クロスや急所を突くスルーパスでチャンスを演出するアタッカーだ。高精度のプレースキックも装備している。
またオフザボールの動きのクオリティも長所に挙げられる。フリーランで相手の背後を取ってDFを翻弄するだけではなく、自らゴール前に飛び込んで得点を決められ、味方のおとりとなる動きを黙々とこなす献身性も持ち合わせている。
堅実なプレーでスペイン代表のキーマンに
2019年9月にスペイン代表デビューを飾った。その後はしばらく代表でのプレーから離れる時期もあったが、UEFA EURO 2020の登録メンバーにも選出。現在のチームでは左右のウイングでの出場が多く、UEFAネーションズリーグでは6試合で2得点1アシストとしっかり数字を残した。
それ以外にも守備時の献身性や味方のためのオフザボールといった部分でも評価を得ており、派手さはないが代表に欠かせない選手になりつつある。FIFA ワールドカップ カタール2022(カタールW杯)でもスペイン代表を支えるキーマンになりそうだ。