アルバの所属するバルセロナは、世界屈指の強豪クラブとして絶大な人気を誇っている。しかしここ数年は苦戦が続いている。昨季途中にクラブのレジェンドであるシャビ・エルナンデスを監督に招へいし、今オフには世界最高峰のセンターフォワードと呼ばれるポーランド代表ロベルト・レヴァンドフスキを筆頭に大補強を敢行した。しかし、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)では2年連続となるグループステージでの敗退が決定。さらにレアル・マドリードとの伝統の一戦「エル・クラシコ」では完敗を喫するなど、今季ここまでの戦いぶりは期待を裏切るものとなっている。

そのようなチーム状況の中で、下部組織出身の逸材アレハンドロ・バルデの台頭やスペイン代表DFマルコス・アロンソの加入により、アルバは昨季まで不動のものにしていたレギュラーの座を失ってしまった。とは言え、出場した試合では十分なパフォーマンスを発揮しており、これからレギュラーの座を奪い返す可能性も決してゼロではない。

バレンシア時代に人生の転機。サイドバックへのコンバート

スペインのカタルーニャ州バルセロナに生を享けたアルバは、10歳でバルセロナの下部組織に加入。当初は左ウイングとしてプレーしていたが、16歳の時には上背がないことを理由にバルセロナから放出されてしまう。その後はUEコルネリャに移ると、2007年にはバレンシアへと活躍の場を移した。初年度はバレンシアのBチームに所属すると、その翌年にはスペイン2部のジムナスティック・タラゴナにローン移籍し、35試合に出場して経験を積んだ。

2009年夏にバレンシアへ復帰したアルバはここで人生の転機を迎える。当時の監督だったウナイ・エメリによって左サイドバックにコンバートされたのだ。復帰初年度こそ控えという立場だったが、2年目の2010-2011シーズンには27試合に出場してブレイクを果たすと、2011-2012シーズンには32試合に出場。ジェレミー・マテューと共にバレンシアの強力な左サイドアタックを担ったアルバは、リーガ・エスパニョーラ屈指の左サイドバックとして知られるようになった。すると2012年夏、1400万ユーロの移籍金でバルセロナへの復帰を果たし、新たな挑戦がスタートした。

元々下部組織に所属していたこともありバルセロナの哲学を理解していたアルバは、移籍後すぐさまレギュラーの座を掴む。右サイドのブラジル代表DFダニエウ・アウベスと並ぶ攻撃的サイドバックとの評価を得て、バルセロナの攻撃を牽引する存在となった。また課題とされていた周囲との連携や守備面に関しても年々改善し、左ウイングのレギュラーだったブラジル代表FWネイマールと阿吽の呼吸を見せて相手守備陣を崩す姿も見られるようになっていった。2014-2015シーズンにはルイス・エンリケ監督の下で世界屈指の左サイドバックへと成長し、リーグ戦、カップ戦、CLの3冠達成に貢献している。

2016-2017シーズンにはチームが3バックを採用していたこともあってプレー時間が減少したアルバだが、その後は本来のパフォーマンスを取り戻すと、エルネスト・バルベルデやロナルド・クーマン、シャビ・エルナンデスといったさまざまな指揮官の下で長くレギュラーとして起用された。

高い技術とスピードを武器とする左サイドのスペシャリスト

元ウイングということもあり、高い技術とスピードを特徴とする攻撃左サイドバック。最大の武器は相手DFの背後のスペースに飛び出し、深い位置まで進入してからのクロスによるチャンスメイクだろう。

味方のパスにタイミング良く飛び出すため相手にとっては対応するのが難しく、敵陣深くまで進入することで相手の守備ブロックを混乱状態に陥れる。特にアルゼンチン代表FWリオネル・メッシとの連係は絶妙で、メッシが内側に入ってくるのに合わせてアルバが飛び出し、サイドチェンジを受けて相手の守備を崩しにかかるというシーンはバルセロナの試合で必ずと言っていいほど目にする光景だった。

またパスの能力や視野の広さも高水準で、ビルドアップの際には縦パスやドリブルで相手のプレスを外すことができ、味方のパスコースを生み出すためのポジショニング調整も厭わない。

ベテランとして臨む3大会目のW杯

2011年10月にスペイン代表デビューを飾り、これまでFIFA ワールドカップ2大会、UEFA EURO3大会にレギュラーとして出場するなど輝かしい代表キャリアを歩んできた。スペイン代表監督のルイス・エンリケとはバルセロナ時代に衝突したと報じられていたが、現在は左サイドバックのファーストチョイスとして起用されている。FIFAワールドカップカタール2022(カタールW杯)ではピッチ内外でチームを引っ張るベテランとしての役回りが期待されている。