今月1日、FIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯11月20日開幕)へ向けたサッカー日本代表の大会登録メンバー26人が発表された。結果的に19人がW杯初選出というチーム編成になった一方で、選外となったベテラン選手たちに対して「許されるのであれば招集したい」と森保一監督は言及したが、それでも今回の26人に対しては、年齢順に読み上げた発表方法とは別に、驚きと疑問を呈する声が多く上がった。
その後、右アキレス腱を負傷してW杯出場が絶望的となったDF中山雄太(ハダースフィールド)に代わり、FW町野修斗(湘南ベルマーレ)を追加招集したが、その他にも日本にはまだまだ多くの実力者たちが控えている。その数は1人や2人ではない。森保ジャパンが選んだ26人に期待を寄せると同時に、今回招集外となった選手たちだけでもW杯を戦えるほどの力があるのではないか。そう思わせる“裏”森保ジャパン26人を選出したい。
ゴールキーパー
- 高丘陽平(横浜F・マリノス)
- 東口順昭(ガンバ大阪)
- 谷晃生(湘南ベルマーレ)
GKは3人。高丘陽平(横浜FM)は近距離シュートに抜群の反応を見せるとともに足元の技術とキックの精度も高くビルドアップにも参加できる。何より今季のJ1を制したチームの正GKであり、自身もMVP級の働きを披露。ここまで代表に選ばれていないのが不思議だ。東口順昭(G大阪)は今季前半戦を故障で棒に振ったが、復帰後はJ1残留争いのプレッシャーがかかった中で“戦術東口”を発動してビッグセーブを連発。現在36歳だが、まだまだトップレベルで活躍できる力を持っている。谷晃生(湘南)は、現在21歳。他にも将来性豊かな若手GKが多く頭角を表してきているが、その中で身長190センチの高さと東京五輪で正GKとして活躍した経験を買いたい。
センターバック
- 瀬古歩夢(グラスホッパー・クラブ・チューリッヒ)
- 植田直通(ニーム・オリンピック)
- 岩田智輝(横浜F・マリノス)
- 中谷進之介(名古屋グランパス)
- 長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト)
CBは5人。現在22歳の瀬古歩夢(グラスホッパー)は高さとスピード、フィード力を兼備し、間違いなく国際舞台で活躍できる逸材。28歳の植田直通(ニーム)は空中戦、対人守備に抜群の強さを持ち、肉弾戦で進化を発揮する。そして岩田智輝(横浜FM)は最も外せない選手。球際に抜群の強さを見せ、高いボール奪取能力を武器にJ1制覇に貢献し、今季の年間MVPにも選ばれた。ボランチでも可能な攻撃センスも併せ持つ。中谷進之介(名古屋)は高い危機察知能力で相手の攻撃を防ぎ、足元の技術も高さも評価してメンバー入り。ここに精神的支柱として38歳の長谷部誠(フランクフルト)に代表復帰を要請。戦力としてもシーズンフル稼働は難しくても、“ここ一番”の試合ならばワールドクラスのプレーを見せてくれるはずだ。
サイドバック
- 菅原由勢(AZアルクマール)
- 小池龍太(横浜F・マリノス)
- 小川諒也(ヴィトーリア)
- 山原怜音(清水エスパルス)
SBは4人。菅原由勢(アルクマール)はオランダリーグで能力の高さを証明し続けており、高い攻撃力を発揮しながら守備面も向上。22歳の若さも魅力だ。小池龍太(横浜FM)はサッカーIQの高さが魅力で、流れの中で中央にポジションを取りながら攻撃を活性化。J1優勝チームの中で欠かせない戦力であり、国際舞台でも活躍できる。小川諒也(ヴィトーリア)は荒削りな部分を残すが、スケールの大きなサイドバックとして魅力タップリ。山原怜音(清水)は今季が大卒1年目だが、チームがJ2降格の憂き目にあった中でも重心の低いドリブルと高精度の左足で多くのチャンスを演出。代表レベルの実力がある。
ディフェンシングハーフ
- 橋本拳人(ウエスカ)
- 橘田健人(川崎フロンターレ)
- 川辺駿(グラスホッパー・クラブ・チューリッヒ)
中盤は計7人を選び、ボランチとしては3人を計算。橋本拳人(ウエスカ)は森保ジャパンでも実力を証明済み。堅実なプレーで中盤を支えることができ、最近は縦への推進力も目立つようになった。現在29歳。脂が乗っている。橘田健人(川崎)は体格には恵まれていないが、豊富な運動量と優れたボール奪取能力で中盤を幅広くカバー。アンカーとしての能力は非常に高い。川辺駿(グラスホッパー)は現在27歳。スイスの名門チームで不可欠な存在になっており、成績的にも今季14試合出場で6ゴール4アシストは特筆すべきもの。旬な選手であり、攻守に貢献できる存在だ。CBで選出した岩田をボランチで起用することもできる。
オフェンシブハーフ
- 森岡亮太(シャルルロワ)
- 藤本寛也(ジル・ヴィセンテ)
- 旗手怜央(セルティック)
- 原口元気(ウニオン・ベルリン)
攻撃的な中盤は4人。森岡亮太(シャルルロワ)は高い技術と攻撃センスを武器にベルギーで結果を残し続けている。代表未招集が続くが、必殺のスルーパスで局面を打開できる能力は活かしたいところ。現在23歳の藤本寛也(ジル・ヴィセンテ)はポルトガルで10番を背負って奮闘中。センス溢れる左足を代表レベルで試したい。旗手怜央(セルティック)は海外移籍後も能力の高さを示し、欧州CLの舞台でも印象的なプレーを披露。W杯の舞台に立つべき選手だ。そして原口元気(ウニオン・ベルリン)は常に日本のために戦える男。もちろん技術、戦術眼も高いレベルにあり、様々なポジションに対応できる万能性でもチームに貢献できる。
ウイング
- 家長昭博(川崎フロンターレ)
- 奥川雅也(アルミニア・ビーレフェルト)
- 中村敬斗(LASKリンツ)
サイドアタッカーとして3人を選出。家長昭博(川崎)は36歳となった今もトップレベルを維持。むしろ研ぎ澄まされており、圧巻のボールキープとブレない技術、天才的なプレーで攻撃にアクセントをつける。現在26歳の奥川雅也(ビーレフェルト)は、かつて“古都のネイマール”と呼ばれたドリブラー。両足を遜色なく使え、巧みなボールタッチでチャンスを作り出せる。さらに中村敬斗(LASKリンツ)は今季、オーストリア1部で14試合8ゴール5アシストと爆発中。まだ22歳。今後の飛躍が期待される存在だが、代表舞台でもすぐに結果を残す可能性は大いにある。
センターフォワード
- 古橋亨梧(セルティック)
- 大迫勇也(ヴィッセル神戸)
- 武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)
- 鈴木優磨(鹿島アントラーズ)
得点源となるFWは4人を選んだ。古橋亨梧(セルティック)は森保ジャパンの中では持ち味を全く発揮できなかったが、ゴールゲッターとしての才能に疑う余地はない。周りの選手、組み合わせ、チームの戦術が代われば必ず機能する。大迫勇也(神戸)は全盛期からの衰えはあるとはいえ、攻撃の起点としては依然として日本人屈指。コンディションも回復し、今季終盤での勝負強さはメンバー入りに値するものだ。武藤嘉紀(神戸)も実力は折り紙付き。まだ30歳になったばかりで、大迫同様にまだまだ活躍できる。武藤は右サイドでの起用も考えたい。そして最後の一人は、鈴木優磨(鹿島)。ゴール前で優れた嗅覚を持ちながら中盤に下がって攻撃の組み立てにも参加できる万能型ストライカー。クラブに専念する意向が強く森保ジャパンには招集されて来なかったが、実力的には間違いなく代表に呼ばれるべき選手だ。
以上26人。システムは4-3-3、4-2-3-1の両方を想定し、長谷部を起用しての3バック変更も可能だ。ここで改めて感じることは、日本サッカー界の選手層が間違いなく厚くなったということ。監督が違えば、選ばれる選手も大幅に代わることになるだろう。だからこそ、誰を選び、どう組み合わせ、どう戦うか。明確なビジョンが必要となり、チームを指揮する監督の能力がより一層求められる。ただ、選手たちは全力を尽くすのみ。今回、森保ジャパンに選ばれたメンバーには、選ばれなかった選手たちの分まで、カタールの地で暴れ回ってもらいたい。そして森保監督には、自身が選んだ26人が「正解」であったことを証明してもらいたい。
“裏”森保ジャパン26人
GK
- 高丘陽平(横浜FM)
- 東口順昭(G大阪)
- 谷晃生(湘南)
DF
- 瀬古歩夢(グラスホッパー)
- 植田直通(ニーム)
- 岩田智輝(横浜FM)
- 中谷進之介(名古屋)
- 長谷部誠(フランクフルト)
- 菅原由勢(AZ)
- 小池龍太(横浜FM)
- 小川諒也(ヴィトーリア)
- 山原怜音(清水)
MF
- 橋本拳人(ウエスカ)
- 橘田健人(川崎)
- 川辺駿(グラスホッパー)
- 森岡亮太(シャルルロワ)
- 藤本寛也(ジル・ヴィセンテ)
- 旗手怜央(セルティック)
- 原口元気(ウニオン・ベルリン)
- 家長昭博(川崎)
- 奥川雅也(ビーレフェルト)
- 中村敬斗(LASKリンツ)
FW
- 古橋亨梧(セルティック)
- 大迫勇也(神戸)
- 武藤嘉紀(神戸)
- 鈴木優磨(鹿島)