ワールドカップ・カタール大会に出場する日本代表に追加招集された湘南ベルマーレのFW町野修斗が11月9日、平塚市内で記者会見を行なった。
「夢のワールドカップという舞台に行けることを誇りに思っていますし、日本を代表して行くので思い切ってプレーしたい」
会見に先立ち、町野は現在の心境をそう口にした。
追加招集の連絡は7日に届いたという。
「(先日の代表メンバー)発表後にバックアップと聞かされていたので、開幕までしっかり準備しようと思っていたところ、電話があって驚きました」
それでも、自覚する役割は明確だ。
「僕はストライカーなのでゴールを期待されていると思いますし、守備では走る部分や湘南でやってきた部分を期待されていると思うので、いつも通り湘南でやってきたことを全力で出したい。自分のプレー次第では世界を切り開いていける大きな大会なので、ほんとにゴールしたいですし、結果を残したいと思っています」
2018年、横浜F・マリノスに加入するも出場は叶わず、翌年にギラヴァンツ北九州に移籍し、J3とJ2で実績を積んだ。
湘南に加入した昨季はJ1で4ゴールをマークし、プロ5年目の今季は13ゴールを挙げて、J1得点ランキング2位、日本人トップスコアラーに躍り出た。
今季の飛躍の理由を自らこう分析する。
「チームのみんなから『町野に出しておけば得点してくれる』という信頼感が徐々に上がり、パスを出してくれる回数も増えた。チームのみんなからの信頼感が13ゴールに繋がったと思うので、代表でもそういうイメージを持っていただけるようにトレーニングからやっていかなければいけないと思います」
7月のE-1選手権に招集されるまで、日の丸に袖を通す機会はなかった。東京五輪のメンバーにも選ばれていない。しかし、「テレビで観る側」だったからこそ抱く想いがある。
「小さい頃、ワールドカップを観て、夢や勇気や感動を与えてもらった。今回は自分が与える側ということで、責任と誇りをしっかり持って、いつも湘南で戦ってきたように熱く戦いたいと思っています。年代別代表にも入れないような僕だったので、ここまで1年で駆け上がることができる可能性というか、他の選手にも勇気を与えたい」
会見ではゴールを決めた時に見せる「忍者ポーズ」にも質問が飛んだ。いまや子どもたちにも浸透しつつある独自のゴールパフォーマンスは、昨オフ帰省した際に生まれたそうだ。
「伊賀城に行った際に手裏剣体験をやってみたら楽しくて、ふざけて忍者ポーズをして右手を上にしていたら、スタッフの方に左手が上だと指摘された。そのおかげでやるようになりました。伊賀出身を誇りだとずっと思っている。僕の象徴である忍者ポーズを世界で見せられるようにしたい」
夢の舞台へ臨む覚悟を改めて口にする。
「何も失うものはないと思っていますし、思い切って勢いに乗ってプレーするだけだと思っている。1日目からアピールして、まずは試合に出られるように頑張りたい。出た際にはゴールに貪欲にプレーしたいと思っています」
自身も驚きを隠さぬ激動の数日の背景には、比較にならないほど長い逆境の年月があろう。遅れてきたストライカーの躍動が期待される。
取材・文●隈元大吾
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